もっと心的内面的恐怖の象徴として「孵化」が描かれる作品かと予測していたのだが、結構ド直球クリーチャーホラーでしたね。他者に歪な愛情を強制する母親もそれに合わせる家族も気持ち悪かったけど、主人公ティンヤの精神的立ち位置が少々あやふやなので彼女が家族に何を求めているかがよく分からない。結果鬱屈した精神を吸収して誕生した筈のアッリの存在意義もぼやけてしまった気がする。アッリの行動原理も単なる凶暴性なのか孵してくれた母親に母性を求めているのか、ティンヤの心の内に秘められた裏暗い願望の具現化なのか明確化した方が良かったと思う。
ラストは納得できた様なできない様な？？？あれってアッリも死んじゃうんじゃ？
アッリの造形は中々に秀逸で気色いい(日野日出志作品に出てきそうだ)。ただ孵化したて時点が最高潮でだんだんインパクトが薄くなっていく変化(成長？)は残念。
追記
最近は北欧の作品を目にすることが増えましたが、変な作品が多いですね。本作も例に漏れず怪作。
