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キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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映画において如何にキャスティングの仕事が重要か、それなのに如何に軽んじられてきたか。先駆者であるマリオン・ドハティの業績を軸にまとめたドキュメンタリー。
時代の変化と共にハリウッドのスタジオ専属からNY演劇界へ移行する流れ、ダスティン・ホフマンやアル・パチーノといった名優たちを発掘した裏話は、メイキングものとして面白い。だがキャスティング仕事を主に女性が担っていて、だからこそ「サポート」役扱いされてしまう。「ディレクター」を名乗らせたくない監督組合の偏狭さがなんともはや。これはキャスティングに限った話じゃない。権威や動く金額が大きいほどそうなる…という訳で、スタント・ウーマンのドキュメンタリーとも地続きだよね。
ただ、大物俳優や監督のコメントが今ひとつ面白みに欠けるというか、「自分があるのはマリオンさんのおかげ」の輪唱になっていて、そのマリオンさん自身の見立ての極意、オーディション過程みたいなものをもっと深掘りしてほしかったところ。結果が出てる成功例だから「納得」のキャスティングだけど…
そんな中、一番良かったのはリチャード・ドナーのスピーチ。そして、マリオンさんのもとに駆け出しの俳優や後輩が集まった事務所がすごく楽しそうだった。ある意味アウトサイダーたちのエネルギーが満ちているようでワクワクする。
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