シネマJACKすぎうら

NOPE/ノープのシネマJACKすぎうらのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

先日YouTubeにアップした本作のレビュー動画では『被虐の構図』という言葉を使った。
それが”意味不明”と感じられたのか、、あまりの再生回数の上がら無さ具合に笑うしかないのだがww

笑いといえば、、もはやジョーダン・ピールが元々コメディアンというのは有名な話。つまりこの監督の作品は表層的にはどれもホラー(というか怪奇譚)の体をなしながら、ちょっと視点を変えると多分にお笑いの要素が映画全体に織り込まれているような気がしてならない。
特にこの『NOPE』は他作に較べてお笑いの要素が色濃く出ていると感じた。

主人公兄弟に(電気屋のサービスマン?)エンジェルを加えた三人組の会話には思わずほくそ笑んでしまう箇所がいくつか見られたような気がするし、ビジュアル的にも思わず吹き出してしまうようなナンセンス描写が随所に見られた。
俯瞰して見れば、、まるで風船のようなUFO(とういうかUMA)との死闘もドタバタナンセンスギャグとも取れなくもない。

ところが一方で、どう考えてもコメディ要素が感じられないシークエンスもあった。
どこまでも惨たらしく悲痛なあのシーン。アジア系キャラクター、ジュープの少年時代を映し出したあの回想シーンだ。前述の『構図』において、少年ジュープとチンパンジーは紛れもなく『被虐』の側だ。堪え兼ねてブチギレてしまったゴーディの方は間も無く(実に不条理な)鉄槌を食らうことになるのだが。。
時を経て大人になったジュープはあのUMA(Gジャン)を飼い慣らそうとする。まさに『負(被虐)の食物連鎖』という意味で、あのシークエンスは物語全体に絡んでくるのだろう。

そうそう、、その『食物連鎖』という視点に立てば、あの激しいクライマックスもやはり(赤塚不二夫ばりの)ドタバタギャグ活劇に見えてくる。
思えば、、ラストカットにおける妹エメラルドのカタルシス感に共感できなければできないほど、この映画は紛れもないナンセンスコメディ作品という映り方に見えるのではないだろうか。


〜問題(?)のレビュー動画(YouTube)〜
■ネタバレなし編
https://youtu.be/sIF1dOgjs_8

■ネタバレ編①
https://youtu.be/qSpBy3LJFOc

■ネタバレ編②
https://youtu.be/ragPXH146oY