久々に製作陣の映画愛が炸裂するハートウォーミング映画に出会ってしまった。最近レビューを書く気にさせてくれる作品が無く、若干映画から遠ざかっていた私を強く引き寄せてくれた、そんな暖かくハッピーな(?)魅力溢れる傑作です。
とにかく丁寧に編み込まれたバックグラウンドや、フィルムならではの圧倒的な映像美が素晴らしい。
あとは未確認飛行物体?UAP?(Unidentified Aerial Phenomena)=通称Gジャンの設定が斬新でとてもよかった。
主人公の設定が動物の”調教師”であることに深い意味がある。人間のエゴや欲望の隙間にちらつくおぞましさがジョーダン・ピールらしく皮肉たっぷりに描かれている。
落ちぶれ元子役のアジア人という設定も痛々しく不気味でいい味を出していた。扱いがあまりに雑すぎて監督の黒人至上主義っぷりに若干辟易したけど。
あのホームセンター防犯カメラ兄ちゃん絶対いっちばん初っ端やられるやん!!モブ被害者フラグ立ちすぎ!って思ったら案外タフでおもろかった。
クライマックスで熱血映画監督のおっちゃん出してきて手巻きフィルム撮らせる(それをIMAXフィルムで撮影してる)のもやりたい放題にも程があってLOVE。なんかもう最後はシンゴジみたいだったしAKIRAだったしエヴァっぽいし訳わからないじゃん。脳内で流れ出しそうなヤシマ作戦を必死に食い止めましたが。
“撮ること”への愛。情熱。
それはこの映画でもある種サブテーマ的なものであったように感じたが、やっぱりそういう愛が感じられる作品が時々存在する。
お洒落さやミニマルな画もいいが、やっぱり暑苦しくガッツを感じるエンターテイメントとしての映画が好き。
この監督はと恐怖感の煽り方とエンタメ的な高揚感を共存させるのがとても巧くて、それがたまらん中毒性を煽っている。あと単純な絵作りがバチバチにかっこいい。色感がもはや画家。随所に入れてくれるリスペクトに溢れたキュートなオマージュもいやらしくなくて痺れる。
最高にビビらせてきたと思ったら笑いどころをぶっ込んできたり、感情が大忙しになったところで気づいたらまんまと引き摺り込まれる。
彼の作品はまだまだ沢山観たいなあ。
解釈違いなのは承知なんですが、あのまま主人公がGジャンを上手いこと飼い慣らして穏やかに平和に暮らす別オチでスピンオフとかどうですか??