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哀れなるものたちのEeeのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
これは高評価してる人よりも低評価している人のレビューを読む方が面白い。

勝手な解釈をつらつら述べ、フェミニズム万歳!と叫ぶのは簡単かもしれないが、正直これは全く持って完璧な映画ではない。ただ私はこの絵が好き、くらいの感覚で評価しておく。

メンズ達の描き方がコテコテすぎて、なんかちょっと違和感だった。ぜんぶ男が悪意を込めて描く男って感じ。最後も、、ただの子供っぽい当てつけにしか見えず。ヨルゴスごめん。
あとは、女を傷つける女も描いて欲しかった。男性心理を利用して自分を優位に立たせるために他の女性を抑圧する女性の存在が無い。実際にアフリカで女性器切除やってるのはスーツ着た医者じゃなくて母ちゃんとかだし。

単純に主人公は思い詰めて苦しんで自分の意思で自死を選んだというのに、フランケンジジイの気紛れでよりにもよって自分の子供の脳みそをぶち込まれて蘇生されるっていう構図が倫理的にアウトすぎた。美人だったから?そのまま腐らせるには勿体無い素材だったから?

結局ベラを生み出したのは男性の身勝手で、それが終始すごく違和感だった。生まれるはずだった、まだ息もあったはずの胎児の人権に関しては一切語られない。

巷での評価が良い(正直この手の映画でこの消費のされ方はどうなの、と思う)ので劇場が埋まってたが、皆観てほしいなどと言える映画ではない。これを観て嫌悪感だけ抱いて終わるのでは意味がない。

ビジュアルに関しては、生成AIの浮ついた不気味さが随所に感じられてよかった。退廃的な美と画面の汚しのバランスが素晴らしい。あのエンドロールはずっと観てられる。


これは余談だが、劇場を出てから3歩歩くとしつこい下品なナンパが付き纏ってくるこの世界が一番グロテスクで惨めな気持ちで帰った。
やっぱり何も変わってないじゃん。
Eee

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