Eee

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのEeeのレビュー・感想・評価

4.2
あの子が歌って踊るなんて、本当に大丈夫かしら…?と授業参観気分で臨んだクリスマス。さすがうちのTimmyはやれば出来る子。踊り?はともかくちゃんとミュージカルしていて、ただひたすらにキラキラとした、大人も子供も楽しめるこの季節にぴったりの作品でした。

ロアルドダール作品よりもティムバートン×ジョニデの“チャリチョコ”イメージが先走っている日本で受けるのかは心配なところですが、原作「夢のチョコレート工場」を知らなくても十分に楽しめます。

キャスティングがかなり良かった。
TimmyとSally Hawkinsが親子役なのが解釈一致過ぎて泣けた。そして突然の汚職神父Mr.ビーンも笑える。宿屋の癖強おばがオリヴィアコールマンなのも最高。悪役トリオはちょっと印象が弱かったけど、ガチガチの裏社会汚職ビジネス×高級チョコレート×シャブ漬け神父&警察なのはどこまでがブラックジョークなんだ!?と心配になったりなど(嫌いではない)。

ただウンパルンパグラントに終始ばか受けしてる鑑賞数回目であろうおばさまおふたりが後ろの席にいらっしゃったおかけで、いちいち現実に引き摺り戻されたのは遺憾でしたが。

美術としてはウェスアンダーソン味が少し強過ぎたところがあったけど、もはやあれは一種の流派となりつつあるのだろうか。分かりやすくオシャレだが、なんだか少し薄っぺらい”映える“だけの芸術表現にもなり得るのでそんなに好きではない。
セット以外のロケ地がほぼほぼOxfordだったのは懐かしくて嬉しかったけど、Oxford卒の友人からするとだいぶ興醒めポイントらしい。そりゃそうか。

個人的にはティムバートン作品くらい登場するお菓子も美味しそうにして欲しかった。思ったほどチョコレート禁断症状が出ず残念。ウォンカの生み出す創作スイーツが斬新過ぎてもはや食べ物に見えなくておもろかった。

バジェットの振り切り方がキャスト>>>演出だった感じが否めず、あれだけの予算があればもっとやれたやろ!という本音もありつつ、ダサすぎるポスター&邦題事件もあって公開直前まで若干の不安感が否めなかった分、しっかり満たされて劇場を後にしました。Timmyの歌うPure imaginationは切なくて優しくてすごく心地が良くて、以来ずっと聴いています。

映画レビューなので彼の過ちには触れたくないけど、しっかりと背筋を正して、これからも真摯に沢山の作品と向き合って欲しい。

ともあれ何があろうと映画に罪はない。
今年も私を支えてくれた数々の作品に感謝。
Eee

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