TakuMori

メランコリックのTakuMoriのレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
4.4
東大卒ニートの主人公が可愛くて自分に好意ありそうな同級生と銭湯で再会し、不器用な恋心を胸にその銭湯で働き出したらそこは「営業後に人殺しと死体処理場として貸し出している銭湯」だった。というあらすじ。

低予算で無名俳優しかいないインディーズ映画。監督も働きながら土日で撮影したらしい。
商業映画に比べると全体的なチープさ設定・美術の粗は否めないけど、それを上回るほど脚本の良さ・見せ方の工夫・役者の好演・意外な展開と心地よい読後感が光っていた。

この作品の一番のオリジナリティは、なんと言ってストーリーの裏切りだと思う。
設定・タイトル・キービジュアル・予告編に植え付けられた印象をまさかの方向にひっくり返される。それはある意味、今まで観てきた映画の蓄積やジャンル映画自体もフリにしている。
「この設定でこういうジャンルの映画なら、まあこんな方向に進むんだろうな」というのが通用しない感じ。
その上で良いなぁと思わされるのは、良い意味でインディーズらしさを利用して普通ならあり得ないインモラルな価値観を強引に通すライン引きと、無名俳優ということでより際立つキャラクター達の実在感のおかげだと思った。

総じてインディーズ映画を最大限利用して工夫と情熱で面白いものを作られた!キャラクターたちも愛おしくなる!って感じで、最後は気持ち良い視聴後感に包まれるし素晴らしい映画だったな。

実を言うとジャンルとしてよくあるインデペンデント系の巻き込まれクライムもの(冷たい熱帯魚とか)は、個人的には目を伏せたくはなるけどやっぱり映画でしかグロは見れないし面白い(でも目を伏せたい)という気持ちで、今作もその印象だったので観たいけど怖くて観ない・元気な時に観ようで後回しにしてて。
でアマプラの公開終了が迫ったのでいよいよ迷ってレビュー見てたら、どうやらそういう感じじゃ無いらしかったのでやっと重い腰を上げて見れたという感じ。
実際全然グロさはないし全く違う映画だったからもっと早く観ればと思いつつ、このフリの部分があってこその評価だから難しいな。ヒメアノ〜ルの逆というか。
あっちを期待して見る人は物足りないのだろうねぇ
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