TakuMori

コーダ あいのうたのTakuMoriのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0
自分以外の父母・兄がろう者で家業の漁業を通訳しつつ手伝う主人公が、合唱クラブに入ったことをきっかけに歌の才能が開花。
音楽大学に進学したいという思いと家族のために働かなきゃという責任の間で揺れていくストーリー。

ろう者の元に生まれた聴者の子どもをCODA(Children of Deaf Adults)というらしい。そして音楽用語で「終わり」を意味するcodaもかけていて、内容に合っている素晴らしいタイトルだ…

ろう者の役は実際にろう者の俳優が演じていて、3人とも実在感がすごかった。
下ネタも言うし喧嘩もするし子離れもできない、ろう者も普通の人となんら変わらない生活をしてるのが伝わってくるからこそ、同じ空間にいるのに違う世界を生きていることの孤独感が際立っていた。
その顕著なシーンが、娘のコンサート中に音のない世界になる無音演出。本当に素晴らしくて、この映画は娘の成長物語でもあるが、同時に娘の夢を親が認められるまでの話でもあることに気付いた。
冷静に考えて、子供の才能・夢が「歌うこと」だったために、ろう者の自分は一生それを聴いて理解することが出来ないのって本当につらいよな。。

他にも名シーンばかりだったな。
印象的なのは、歌う時の感情を先生に聞かれて手話で表現するシーン、崖から飛び込んだ湖での青年との戯れ、コンサートの夜にトラックの上で父に歌う場面、そしてオーディションの素晴らしいパフォーマンス…
学園パートと家族パートでそれぞれに孤立を感じつつも、夢を開花させて希望に満ちていく方と現実が厳しくなって責任感が増していく方が交互に描かれることの切迫感がすごかった。

さすがアカデミー賞、めっちゃいい映画だった!
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