はなこたちゃん

破戒のはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
4.5
大量の畳が
とある宿屋に運び込まれる

宿泊客の中に『穢多』が居たのでその客を追い出し、畳を入れ替える為だと語られる

明治に入り『身分解放令』により
身分制度は廃止となるも
人々の心の中には根強い差別意識が残っているという衝撃的なオープニング

『たとえ部落差別がなくなっても
また別の差別が生まれる』のだとも…

本当にその通りです
今を生きる私達の周りには
常に様々な差別や偏見が幾らでもあり
それはまさに
『人は弱いから』そして
正しいことを知ろうとしない
からなのだと思います


遂に父の戒めを破り出自を告げた丑松に
師範学校からの友である土屋は
『すまなかった、これまで無神経な事を言って君を傷つけてしまった』と謝罪する

差別や偏見を持つ人を嫌悪する
善良な人であっても
悪意のないまま
無意識のうちに
差別に加担しているということ
自分には無関係だという思い込みが
多くの差別を生み
当事者を苦しめ続けているのだと
改めて思い知らされます

戒めを破り出自を告げた後
教え子達との別れ際
『どんな境遇であっても学問に励みなさい。学問があなた達を救ってくれるのです』
と語る丑松の思い
これこそがこの作品としての
未来を生きる子ども達へ
のメッセージそして
教育格差社会への
警鐘ではないでしょうか

『正しい教育』こそ
差別や偏見のない
寛容で成熟した社会を実現する為の架け橋となるのだと…

今改めてこの時代に映画化された事は大変意義深いことだと思います



『辛くても歯を食いしばって堪えるのです。諦めてはいけません。』
自分と同じ出自の生徒を励ます丑松の思いに涙が止まりませんでした

端正なお顔立ちの間宮翔太郎さん
憂いを帯びた表情
子ども達に対する優しい眼差し
台詞以上に雄弁に語る
その表情、佇まいが
素晴らしかったです✨✨✨