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PIGGY ピギーのSSDDのレビュー・感想・評価

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)
3.8
◼︎概要
肉屋の娘は過度な肥満によりいじめを受けている。ある日、ひっそりとプールに向かうが泳いでいる間にいじめを受け、水着のまま帰らなければならない目に遭う。
帰途の中、ある事件に巻き込まれる…。

◼︎感想(ネタバレなし)
スラッシャー的なホラーを期待して以前から気になっていた本作を鑑賞。
ピンクを基調にした映像から始まり、主人公が無口で陰鬱とした作風となっている。
スペインということで陽気なトーンで辛辣なイジメが展開されるためなかなかの胸糞の悪さ。
思ったよりもゴア表現が少なく、苦手な人にも安全設計…故に私には物足りなかったが、人間というものの不合理さ故の葛藤を描き、なんとも言えない世界観を創り出せている。
少女の葛藤を描く本作、確かに賞を受賞する感覚はわからなくない。















◼︎感想(ネタバレあり)
・現実的な感情
実際陰湿なイジメを受けていて加害者側が不利益を被る時に、因果応報と思うことはあっても実際に見殺しにできる人間はそうはいない。
自分を唯一認めてくれるのが謎のシリアルキラーであることも目を瞑ることなんてできないし、孤独で歪んでしまった少女の葛藤を上手く描けていると思う。

・謎の殺人鬼
昔地元でいじめを受けていたのかもしれない。特にプールの店員がどこかであったかを問うが、イジメ加害者であったにも関わらず自分を覚えていないことに復讐を決意したとも考えられる。
そんな中、サラを見て感情移入し、サラをいじめる加害者達を対象にし始めたのかもしれない…。

・賞を取る理由
この作品の素晴らしいところは、謎の殺人鬼も主人公も無口であり必要最低限ラインの発話しかしないのに心情が伝わってくるカット、演技なこと。

もっと若い頃であれば、自分だけ助かろうとしていた元友人やいじめの加害者を主人公が撃ち殺さなかったことでつまらん映画と評価してしまっていたかもしれない。

だが殺人鬼に対してすら殺したくなかった彼女の優しさは醜い醜態を晒す友人ですら許すという所業。

銃の暴発で腕が吹き飛ぶシーンもしっかり入れているので因果応報でもあり、勧善懲悪として成り立っていた。

人というものの感情を少ない会話や演技から伝えるというなかなか秀逸な作品でした。
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