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LOVE LIFEのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

本作を観ると人間はどこまでも不完全なのだと感じる。誰もが社会に求められる理想像(例えば、母親はこうあるべきだのような、、)と現実の乖離に葛藤し、ときにそれを他人に強要してしまう。そもそも社会や他人が求める像が本当に「理想」なのかもわからず、なお葛藤は深くなる。そんな人間の持つ多面性がそれぞれ、別のかたちで現れていて、その人間臭さに愛おしささえ覚える。

もちろん、本作に登場する人々の葛藤を見届けるのは大変苦しい。しかし、そこに愛おしさを感じるは彼らが直面する現実と向き合いながらも、その場で取った選択が間違っていなかったのだと、自信と不安の両方を抱えながら前へ進む姿勢を常に忘れていないからだ。全編を通して辛い出来事が続くが、どこか希望を持たされるのは、そのためだろう。登場人物の姿から観客は不思議と背中を押された気持ちになり、彼らの今後を応援したい気持ちも芽生える。そうやってお互いを思いやりながら生きていくのが人生であるし、だからこそ辛いことがあっても生きていこうと思えるのだと思う。したがって、「LOVE LIFE」というのは不完全でない者同士の愛すべき営みのような意味として捉えることもできるのではないだろうか。私にはそう思えてならない。
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