てっちゃん

教育と愛国のてっちゃんのレビュー・感想・評価

教育と愛国(2022年製作の映画)
3.9
なんだかものすごい評判であることが聞こえてきて、これは観に行くしかねえでしょうとなっていたけど、かなり混み合っているようだからどうしようかなと思っておりました。
思っていたら、上映最終日ってことで、ここしかねえでしょ!となったので、金曜日夜仕事終わりに駆けつけました。

平日夜にも関わらず、9割以上は埋まっていたくらいにかなりの人気っぷり。
年齢層は高く、いつも見かけないような雰囲気の方達も多く、両隣のおっさんたちも絶好調。

鼻息が異常に荒く鼻水を啜りまくるおじさん、上映中に『がぁー、くぅー』と声出し両手上げて背伸びをするおじさんと、絶好調なおじさんらを両脇に抱えての鑑賞というハードな現場での鑑賞。

それでも、作品が始まってしまえば、そっちに集中してしまうほどの中身が非常に濃い作品だったのもあり、脅威の集中力を持って、傭兵おじさんたちを蹴散らすことができました。
さあ、感想です。

冒頭からいきなり笑ってしまった。
問.礼儀正しい挨拶はどれでしょう?
1.おはようございますと言いながらお辞儀をする。
2.おはようございますと言ったあとでお辞儀をする。
3.お辞儀の後におはようございますという。
さあ、正解はどれでしょう?
、、正解は「2」でした!

これに違和感を持った人なら、本作を観ることをおすすめしたい。

さらにこんなのがある。
戦前にアメリカの国策映画として、日本の教育を描いた映像が流れる。
日本の学校は心を育てるところではなく、政府が選んだ思想や物事が教えられる。
その教育の目的は、同じような思考を持った子供の大量生産であり、子供たちはスポンジのように吸収しては、絞るように教えを行う。(ここでみんなが同じを動きをする)
教師は政府によって育成され、天皇に忠実な物だけが教壇に立てて、その子供たちも天皇に順応するのである。
みたいな紹介映像が流れる。

恐怖でしかないし、本作の内容的にも戦前の日本に確実に戻っていっているということを危惧するように描かれていくので、この冒頭だけで面食らった。

もうひとつ加えると、日本現代史の権威である東京大学名誉教授のお話がある。
そこでは、"歴史から学ぶ必要はない"と平然と言い放ち、まともな日本人とは?の問いに対し"左翼でない。反日でない日本人"と答えている。
なんともまあ刺激的ではないだろうか。

事実を消して、新しい歴史へと塗り替える。
かの有名な"1984年"そのもののディストピアに、既になっている。

ここで冷静にならないといけないのは、本作に於いても製作している"人"がいるのであり、その"人"の意思なり主張が入っているのは当然である。
だから、どの情報をどのように取り入れるのか、どこをどこをどう繋ぎ合わせるのかが重要になってくる。
だから、一度冷静になって、きちんと情報と向き合い、自分で整理していく必要がある。

それでも本作で描かれていることは、確かに起こっている"事実"である以上、無視してはいけないし、このままいけば確実に、、、。

ちなみに本作の監督である斉加さんは、橋下元大阪市長さんとの囲み取材のときに、吊るし上げにされて、大炎上を喰らった人である。
このときの動画は非常にインパクトがあり(橋下さんは非常に強い言葉を、短く的確に突くのでそりゃインパクト大な訳だよな)、本作を鑑賞前と後じゃ、全く違ってみえてくる。

今こそ考えないと、"1984年"の世界になりつつあるものが、加速していく。
そんなことを考えさせられた作品であり、教育と愛国、これを繋げてしまうことに危機感を覚える作品でした。
てっちゃん

てっちゃん