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さかなのこのplantseedsのレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
4.3
『男か女はどちらでもいい』

好きを貫くこと。
簡単なようで、難しい。
好きを貫いて、素晴らしい人生を送っているような人も、その裏でいろんな苦労をしている。

ミー坊が社会に出てから、特にそれを強く感じましたね。
みんなが折り合いをつけ始める中で、それでもなお自分を曲げないミー坊。
より、周囲との摩擦が。

幼馴染のヒヨ(柳楽優弥)と、その彼女と(島崎遥香)一緒に、ミー坊が食事する場面。
「お魚博士になりたい」と言い切るミー坊に、「いい歳して」と、笑いながら本音が漏れるヒヨの彼女。
ヒヨが明らかに不機嫌になる。
そこから、本当にヒヨがミー坊のことが大好きなのかが分かる。

それがきっかけで、ヒヨと彼女は口論になったのか、彼女は食事の席を一方的に去る。
「いいんだよ」と、彼女が帰っちゃったけど、ミー坊にそう言うヒヨ。
きっと、この前からなんとなく、彼女とはなんか違うなと、思っていたんだろうな。

人が何かに一生懸命に熱くなっているのをバカにするような人と、離れられてよかった。
自分も、そうならないようにしよう。
バカにしたくなるのって、実は本当は自分もそうしたい、羨ましいだけだったりする。


ヒヨだけじゃない。この作品は、好きにまっすぐな、ミー坊のことが大好きな、みんなの愛にあふれている。


好きを貫けるのは、周りの理解があったからだ。
と、思う人も多いだろう。
実際、好きを貫くのは並大抵のことではない。
だからこそ、ミー坊のように好きを貫く人に会ったら、それを否定する側ではなく、肯定する側に自分はいたい。
そういう世界を自分はつくりたい。

ミー坊が才能を開花できたのは、お母さんの存在が大きい。
個性あふれるミー坊のことを、「あの子はこのままでいいんです」と、言い切れる潔さ。
大いなるギフテッドの裏には、その存在を常に肯定してくれる大人がいる。
教育とはどうあるべきかをも、問いかけてくるのがすごい。

ファンタジックに描かれている部分があり、どこまでが本当なのかわからない。
この作品はどこか理想郷のような、現実味がない雰囲気があるけれども、好きを貫くミー坊。そして、まわりの人たちの愛に溢れたこの世界が自分は大好きだ。
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