Yone

さかなのこのYoneのレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
4.5
✒️さかなクンの自伝を原作にした今作、「さかなのこ」。自伝とは言えどさかなクンの映画ではなく、「なにかを好きで好きでたまらない人の映画」であった。
軽い気持ちでみにいって、重い左ストレートくらった。
✒️男か女かはどっちでもいい
この映画の冒頭はこのフレーズから始まる。このフレーズは少し強く感じたが、この映画を観るうちにしっくりくる。というのも、今作の主人公ミー坊を演じるのは、のんさん。劇中では明確な描写がないため、女性であると無意識に考え、明確な描写がないことが逆にノイズになってしまう。しかし、冒頭のフレーズがあることで、話がすごく自然に入ってくるような気がした。このフレーズはテーマを孕みつつも、映画をすごく入りやすくさせていると感じた。
このフレーズを踏まえた上で、主演のんはバッチリ決まっていた。裏のない、明るいパワー全開のさかなクンぽさ。中性的なところもあって、学ランもすごく似合ってたし。海に潜るシーンは「あまちゃん」を覚えて、なんか嬉しかった。
✒️好きなことをしてる人は輝いてみえる
町のヤンキーがミー坊につられて、どんどん魚の世界に入っていく描写があるように、好きなことをしている人は輝いているし、なにか惹きつけられる。と、同時にちょっと俯瞰してみてしまう。ちょっとの羨ましさ。その感じも上手く入っていた。
また、好きなことを好きで居続ける難しさもちゃんと描かれていた。水族館や寿司屋などで働くが全くうまくいかない。水槽のデザインを頼まれるも、ニーズに合わないものを作ってしまう。好きなことで生きていく難しさや好きなものを共有することの難しさ、誰しもが感じているし、さかなクンもそうであったことも知れた。
さかなクンがギョギョおじさんという町の変わり者で出てくるが、テレビに出なかった世界線のさかなクンらしい。才能に溢れ、それ故に周りから理解されず孤独に生きている人がたくさんいる。とてもリアルな描写で「そこまで描くのかい!」とい思いつつも説得力があった。
✒️まとめ
この作品は好きなことを追う人の素晴らしさとちょっとのリアルがとても良い塩梅だった。好きなことを好きで居続けたいと強く思ったから、ほんとに観れて良かった。
あと、めちゃくちゃ笑えるのでオススメです!
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