Yone

余命10年のYoneのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
3.9
✒️原作未読、パンフレットを購入して読みました。
消化しきれてなくて、わからない部分も多かったので、結構変なこと書いてるかもです。
他の人の感想が特に気になる作品でした。

✒️苦手意識
自分は、邦画の恋愛ものを好んでみません。特に「余命」が絡んでくるものは。
物語の展開やパターンが決まっている気がして、今まで観てきた作品もそんなに自分の想像した展開と間違っていなかったことが多いです。
ましてや、宣伝で「泣ける」みたいな感じだと、さらに遠くなります。自分は泣きたくて映画館に行くわけじゃないですし、自分が作品を観て泣いた時は、自分の今までの人生に重なるものが不意に訪れた時です。
自分は余命宣告をされたことはないから、
主人公との壁を少し感じ、この手の映画の観方がわからず、観終わった後は、モヤモヤと少しの悲しみに残されます。
予告を観た感じだと、苦手な作品かなという印象。そんな自分にとって観る決め手となったのは、タイトルの「余命10年」。
ストレートなタイトルは気持ち良いですよね!

✒️自分の見方
自分は結構好きです。
いくつかハマれた要素はありますが、
なによりも自分にとっては、苦手意識を持った、いわゆる余命系ではなかったことが大きいです。これは、10年という期間が生み出しているのかはわかりませんが、
一人の女性の10年の生き様を描いた作品と捉えました。茉莉さんが二十歳で同い年であることも大きいです。
✒️共感できた部分
10年という期間がこの作品の全てだと感じました。もっと短い期間だったら、茉莉さんはもっと、なりふり構わず突っ走っていたかもしれない。しかし、10年ともなると、葛藤する猶予が良くも悪くもあって、そこが自分とすこし重なった。
自分は余命宣告されたわけではないけれど、10年後に生きてる自分のヴィジョンが全く見えないし、茉莉さんと同様、未来に希望があるかといえば、ない。それでも、それなりに生きてることは楽しい。
茉莉さんは凄く理性的な人だと思う。
余命宣告をされているにも関わらず、行動や表情はそこまで悲観的には見えない。もし人生の喜びを知れば、「死にたくない」という思いに囚われることすらも自覚している。だからこそ、「恋だけはしない」と彼女は決めている。ただ、この考えは悲観しているとも思う。二十歳という若さだからこそ、この葛藤があって、矛盾していて
10年間を生き抜く姿は美しいと感じた。
自分がもし10年後、生きていたらこんなにも、たくましくなれるのか
✒️ドライブマイカーを通して
自分は茉莉さんに感情移入したためか、和人さんを身勝手な人に感じてしまった。ドライブマイカーは直接的な言葉によるコミュニケーションがむしろ、ディスコミュニケーションだと感じさせる力を持っている作品である。相手の言葉をちゃんと理解しようとしないと、会話相手が自分の話の為のきっかけにしかならない。これとは、少し違うけれど、そんなに遠くもなくて、和人さんが自分の言いたいことをひたすら言う人に感じた。ただただ、茉莉さんに依存している人にみえることもあった。そして、パンフを読む感じ、意図的に和人さんをそう言うキャラクターにしていると言う感じなので、多分、間違った見方はしていないと思う。
✒️キャスト
この作品は役者さんの演技によって底上げされていると感じました。小松菜奈さんは目の演技が凄い良くて、坂口健太郎さんは普段は爽やかな印象なのに、和人さんを演じてるときは身勝手にみえたし、助演の様々な役者さんがとても良くて、特に山田裕貴さんが凄く良かったです。湿り気が全くなくて、相手をしっかり考える人で和人さんとの対比が凄く効いていました。
そして、三浦透子さんも出ていて、普通に嬉しかったです。三浦さんのコメントがパンフになかったのは少し残念。
✒️演出
映像はミュージックビデオを観ている感じに近くて、作風とマッチしていて、特に四季の表現は、ララランドとは真逆で、自然の移り変わりで表現しているのは日本特有の良さだと感じました。髪型の変化が人物の変化を表しているのは、パンフを読んで、なるほど!と言う感じです。
個人的に嘔吐シーンがある映画は、結構、良い映画が多い気がします。こればかりはなんのロジックもないので、ほんとに何故なのかわからないですw
最後の演出は個人的には、要らなかったかなと、これは見方によって変わると思います。
✒️総評
観た直後と少し時間が経ってからでだいぶ考えが異なる作品でした。悲しいのは悲しいのですが、どこが清々しく感じるのがこの作品の良さであると思います。
10年経って、30になった時に、また観ようと思います。
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