Yone

ウエスト・サイド・ストーリーのYoneのレビュー・感想・評価

4.3
✒️原作ブロードウェイミュージカル「ウエストサイドストーリー」、1961年のウエストサイド物語未鑑賞、本作予告のみ
✒️あらすじ
1950年代、ニューヨークのマンハッタン
ウエストサイドが舞台。そこでは、ユダヤ系、ポーランド系、白人の移民からなる「ジェッツ」 プエルトリコ系の移民からなる「シャークス」と二つのグループが対立している。激しさを増す2つのグループの抗争にジェッツに所属するトニーとシャークスのリーダーの妹のマリア。トニーとマリア愛し合う二人が巻き込まれていく‥
✒️冒頭
オープニングのシーンがこの映画の性質を全て表しているといえると感じます。
カメラが地面から始まり、若者と同じ目線で映画が始まります。ウエストサイドの建物が取り壊されている街を移しながら、カメラが上がっていきリンカーンセンター建設中の看板が写る。カメラが上がったと思うと下に移動し、地面を写す。地面ギリギリまでズームアップをした後、地面から不良青年が飛び出してくる。
このワンカットのシーンでカメラワークの気合いが伝わってきますw
そこから、二つのグループの対立を映像で見事に表現し、5分程で観客に物語の構造とその時代の情勢、そして、「こういう映画ですよ!着いてきてね!」と言わんばかりの動的なオープニングを魅せてくれます。個人的にはもうお腹いっぱいでした。
✒️スピルバーグ監督の映画であること
スピルバーグ監督はミュージカル初挑戦ということでしたが、やはり流石の手腕。
ウエストサイドストーリーをスピルバーグが再解釈することに意味があるのかと考えましたが、そもそもスピルバーグがウエストサイドストーリーを映画にするということだけでも絶対的な価値がありました。
ミュージカル映画というよりも、ミュージカルの皮を被ったアクション映画という方が個人的にはしっくりきます。アクションはテンポが大事だと思っていますが、その点はミュージカルであることで音楽によるリズムとベストマッチ。さらに緊張と緩和が人の動き、音楽、ストーリー、全てにあります。緊張と緩和という観点からみると
全シーンがクライマックスだといえるのではないのでしょうか。ただ、観るだけでも体力がいりますw
そして、スピルバーグ監督ならではだと感じた点は、光の表現にあります。ダンスシーンでの逆光、体育館の中央で踊る人々はたくさんのライトに照らされているのに対して、マリアとトニーが裏で出会うシーンでは、椅子の隙間から光を漏らす表現で見事な対比と画が出来上がっています。マリアの自宅では窓から差し込む光ととカーテンを使った光の表現が見られます。
✒️キャスト
自分はキャストはあまり知らずに観に行ったのですが、リフ役のマイク•フェイストさん、そしてアニータ役のアリアナ•デボーズさんが特に好きでした。リフはキャラクターが好きというのもありますが、リフを失った後のジェッツをみると、どれだけリフが重要であったかがわかります。アニータの歌とダンスの力強さには圧倒されました。ジェッツのなかにジョセフゴードンレヴィットに似てる人がいました。
✒️インザハイツとの違い
近くの作品だと去年公開された、インザハイツがあると思います。インザハイツはリン=マニュエル•ミランダが製作に関わり
ミュージカル映画としてものすごい出来だと感じます。インザハイツはミュージカルを観てる雰囲気に近く、俯瞰のカットや全体を写すシーンが多かった気がします。
それに対して今作は比較的人物に近めで、カメラが動きまくるのが特徴だと感じます。それぞれの良さが出ていますが、ミュージカルの良さをそのまま引き出そうとして撮ったミュージカル映画がインザハイツ、映画の良さを加えて撮ったミュージカル映画が今作といったところでしょうか。
✒️総評
かなりカロリーの高い映画ではあると思います。ただ、映像の楽しさがトップレベルでさすがスピルバーグ監督です!
ミュージカルが苦手な人はあまり乗れないかもですが、アクションの部分でもかなり楽しめると感じます!
Yone

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