じぇいらふ

王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター版のじぇいらふのレビュー・感想・評価

5.0
坂本龍一追悼上映。これも大好きで何回も観ている作品ですが、スクリーンで観るのは生涯で2度目。1度目は35年前の封切り日。やはりこの迫力は映画館で観られるなら絶対見に行くべき。

坂本龍一の映画音楽仕事では実は一番好きな作品であるだけでなく、アニメ作品としてもマイベストの1本👍👍👍👍👍

🎞️ある雪の日。丘の上から少年が見るのは、戦闘機の発進。「いいことなのかそれとも悪いことなのか~水軍のパイロットになりたかった、、、そんなものにはなれないと学校の成績が教えてくれた、、、だから宇宙軍に入った」~という何回観ても痺れるはじまり。

📖架空の星の架空の国オネアミス王国。ロケット打ち上げ実験失敗ばかりで、まったくお荷物の王立宇宙軍。そこで同じくやる気のない宇宙軍の若者達がただ怠惰な日々を送っていた。その一人シロツグは、街で神の言葉を伝えたいと活動をする少女に出会う。彼女に励まされ、がぜんやる気を出したシロツグは、人類初の有人宇宙飛行の実験に自ら立候補してしまう。。。というおはなし

まずは圧倒的といっていいアニメの作画のクオリティですよね。今アニメは大人気で、昔と比べてどの作品もとても綺麗で質がいいんですけど、この作品の異常といっていい作画は凄いです。特にクライマックスの戦闘~打ち上げシーンは有名ですね。ロケットの実際の打ち上げ映像を研究したとしても、この細かすぎる仕事はすご過ぎますね。庵野秀明の仕事を有名にした作品。今回4K化でさらに鮮明になったシーン。しかもCGもないアナログ制作で。AKIRAとかと同じく、もはやどうやってつくったかわからないアニメのオーパーツ✨

架空の国オネアミスを細部の細部までこだわり抜いた美術関係。ありそうでない、不思議な衣装、風俗、風景の数々。
これら信じがたい仕事わずかほぼ20代の無名のスタッフメンバーで作ったのは、尊敬に値しますね。いまや一線で活躍して、方々で有名な伝説の方々。トップをねらえ、エヴァを作った、元ガイナックスの面々。

技術だけでなく、声優等キャストもすばらしい。主人公の森本レオのひょうひょうとしたイメージをこの作品で知りました。クライマックスの燃える神演技。当時の一流声優さんたちの一流の仕事。

ストーリーが好きです。結構美術やアニメ技術で語られる作品ですが、基本は一つの目標に向かっていくポンコツチームの努力と成功というベタベタな青春ドラマですね。大好物です笑。
結構前半ユーモラスながら静かな展開ですが、やっぱりロケット打ち上げと戦闘シーンの異常に盛り上げる熱い展開は、、、何回みても泣きます笑。

音楽は、坂本龍一作品としては珍しいアニメ作品で、作風的にも結構過渡期の作品のひとつです。この後、あのラストエンペラーで作風も知名度も一気に変わって、遠くにいってしまいます。彼がアニメの携わるのはそのずっと後晩年の「さよなら、ティラノ」までありません。彼のソロ作品で展開していた、シンセサイザーを駆使したテクノポップ作品の要素を一番打ち出してる音楽です。テーマ曲、リイクニのテーマ、王立宇宙軍軍歌(サントラは教授が歌ってる🤣)最後のFADEのポップな素晴らしさ!また当時は、彼だけでなく、上野耕路、野見祐二、窪田晴男等々、坂本チームで映画制作してまして皆さん素晴らしいです。オネアミスの架空の歌謡曲「アニャモ」がほんとに素晴らしいです。これは野見祐二の作。雨のシーン美しすぎる曲は上野耕路。戦闘の燃える音楽は窪田晴男。。。等々ある頂点といってもいい素晴らしい音楽群です。是非サントラを手に入れるべき作品ですね。🚀

おまけ、、、教授的には制作トラブルとかで黒歴史化した残念な作品という扱いらしいですが、今のアニメファンにとても愛されてる作品だけに残念ではあります。もっとも教授的には、その後のラストエンペラーで映画音楽制作の洗礼を受けることになるので、まだ当時はわかってなかった感じがします。晩年コンサートでリイクニのテーマをピアノ演奏してたので、黒歴史は少しは解消しつつあったのかも?😆