Melko

夢のMelkoのレビュー・感想・評価

(1990年製作の映画)
3.9
「死神に名刺をもらったって、どうしようもない」

「鬼の因果はね、死ねないことだ」

「本来、葬式はめでたいもんだよ。よく生きて、よく働いて、ご苦労さんと言われて死ぬのは、めでたい」

思ってたよりも良かったんだけど、なんか惜しかったかなぁ…!

ジャケットに惹かれて📎していた作品。
黒澤明が見た夢をベースとした、8話のオムニバス。知らなかったけど、スピルバーグが協力、なんとまさかの役でスコセッシまで出ていた…!

◾️各話のタイトルと所見◾️
①日照り雨 : 男の子が見た狐の嫁入り
②桃畑 : 桃の木の幻影
③雪あらし : 死にたくなければ寝るな
④トンネル : 哀悼の回れ右
⑤鴉 : 創作の苦悩と光
⑥赤冨士 : 背筋凍るリアリティな人間の業
⑦鬼哭 : 環境破壊を憂う鬼との対話
⑧水車のある村 : 原点回帰の明るいお葬式

あー、なんか今日は疲れてたのかなぁ
②で、桃の木の精にからかわれた男の子が
「桃なら、八百屋で買える!でも、花の咲いた桃畑はどこで買うの?!」って泣くところで一緒に泣いちゃったんだよな。。

①と②がほんわかした内容に美しい風景に見惚れて「綺麗だなぁ…」なんて呑気に構えてたら、③でおや?となり、④で不穏な空気に…⑤で持ち直してやっぱり綺麗だなぁと思ったら、⑥と⑦……
まるで、ヒーリングBGM聴きながら寝たら、途中で金縛りに遭ったか熱出たかぐらいの高低差…ええ〜〜って思ったら、
⑧は軌道修正してくれた!良かった〜

②はちょっとだけ「田園に死す」みがあった笑

出演陣は何気に豪華
③から出ずっぱりの寺尾聰は崖を降りたりフランス語話したり、泣いて笑って奮闘
演技見たことなかったかも。⑤で油絵をバックに彷徨い歩くシーンは、「おかあさんといっしょ」のMV見てるみたいだった。
ここでスコセッシが!!その役かーい!
フランス語頑張って欲しかったなぁ…

⑦の鬼……しっかりメイクで、誰だか分かんなかったぜ、長さーん!!コメディ封印の、ちゃーんとしたお芝居
舞台劇を見ているようだったわ

日本昔ばなしみたいな、ラスト⑧では笠智衆!自然を愛するご陽気爺さんがよく似合ってた
葬式パレード、他の方のレビューであったけど、「パプリカ」みがすごい笑

自然に勝るセットは無い かのような、圧倒的な実写の自然美
日本なのにヨーロッパにも見える、不思議なビジュアルな日本各地のロケ地

気になるところがなかったと言えば嘘で、
狐のお面は能のデザインにしてほしかったな、とか
③は個人的には不要だったな、とか
エンドロールの背景は藻じゃなくて美しい山々とか桜にしてほしかったな、とか
何度も繰り返し見たいエピソードは、無いかな…とか
色々ある。。

けど、テイストが同じなようで違う、映画を8本見れた感じがして、ちょっとお得な体験ができたし、演技全力投球な長さんが見れたから、満足。
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