Melko

異人たちとの夏のMelkoのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.7
「一人息子が花札も知らねえで中年面になっちゃあ、責任感じちゃうよ」

「気が付かないの?無駄口叩いてる暇、ないのよ?」

不思議な作品だった…泣いちゃった場面もあったんだけど、主人公 原田がなんかずっとイジイジモジモジしたままで、両親のせっかくの想いに乗っかり切らないダメさ加減がイライラしたのと、終盤突然挟まるお化け屋敷みたいなオカルト描写に呆気に取られてしまい。やはり大林監督は私は注意すべき人物かもしれない。途中すごい良いシーンあったのになぁ。。

私にとっては「HOUSE」以来の大林宣彦監督。女優がみんな大根演技だったのと、描写が終始妖怪大運動会みたいで全然捉えどころのなかったアチラと違い、コチラは幼少期のノスタルジーにしっとり語りかけてくる系。にしては、幼少期の書き込みが足りないせいで原田自身にイマイチ感情移入ができない。
おまけに、せっかく28年ぶりに会えた両親がアレコレ世話してくれようとしてるのに、それに甘えることもなく、かといって拒絶するわけではなく、むしろ喜んで通ってるし、その究極に不器用な感じが見てて全然スカッとしない。並行して付き合ってるケイの方がどう考えても怪しいのに、何やっちゃってんだか、まったく。。そのケイに関しての展開は、悲しいかな、ジャケ写の文言で盛大にネタバレしているせいで、こんな話なんだろうねぇ、を覚悟して見たのと、何よりケイの挙動が最初から不審すぎるので、別に驚きもなく。。

ただ、思春期に差し掛かろうとしていた時期の息子を残していっぺんに死んでしまった両親役の秋吉久美子と片岡鶴太郎はいい味出してた。最初はこの2人が夫婦…?の違和感あったけど、だんだん目が慣れてくると、
威勢と人当たりは良いが、亭主関白で飽き性のダメ亭主&お人よしで世話焼きな、肝の据わった嫁
のコンビがしっくりくるようになる。この2人の書き込みももっと欲しかったなぁ。この2人と息子 原田のやりとりが泣かせるのだから、もっと見せて欲しかった。物足りなかった。
両親が別の道を歩んでる私にとっては今半での光景はファンタジーだけど、原田はホントに愛されてたんだな、良いな、と。
だからもっとちゃんと甘えなさいよ!バカ!なんて思ったり。
「一度で良いからかあちゃんの作った料理、食べさせたかったな…」ってお母ちゃんも言ってたやん。。

嫌味な感じのした間宮のまさかの男気にはビックリした。普通そうはならんやろ笑

ボケーっと見てたら突然の方向転換にガツン!と殴られるような感覚。やはり気をつけなければならなそう。
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