Melko

クイックシルバーのMelkoのレビュー・感想・評価

クイックシルバー(1985年製作の映画)
3.2
「なぁ、調子が戻らないんだ…」
「それより、どっちかな、男の子か、女の子か」

ピッチピチの(と言っても当時既にアラサーの)ケビン・ベーコンが颯爽とチャリを漕ぎまくる話。
「プレミアム・ラッシュ」をレビューした際に、おすすめで出てきたこの作品。確かに、メッセンジャーが主人公で、そこにサスペンス要素が絡んでくるあたりはほぼ同じ。違う点としては、主人公ジャックが元々デイトレーダーだったこと。
しかもやり手のトレーダーっていう設定ではあるものの、全く活躍することなく序盤いきなり全財産をスってしまい、不貞腐れまくった結果、かつて(タクシーに乗りながら)メッセンジャーとのレースの勝負を持ちかけて負けたことを思い出し、自身もメッセンジャーへ転身することに。
元々運動神経があってすんなり順応できたのか、ジャックがメッセージャーとして独り立ちするまでの過程は一切省かれ、その代わり、新入り女子テリーを巡るトラブル&サスペンスと、トレーダーとして返り咲こうとするジャックの姿が描かれる。

悪役顔ではあるが個性的なイケメンであるケビン・ベーコンが、街を歩きながらスレていき、段々髪の毛が伸びて、見た目が不良になっていく過程がなんか面白い。笑
そんなケビン・ベーコンが一生懸命自転車漕いでる姿を見るのは良いし、当時としては撮影頑張りまくったであろう疾走シーンの迫力はあるのだが、お話として面白いか?と言われると、うーん。微妙。ジャックと家族、ジャックと仲間の絆のあたりの描かれ方が尺足りてない感があって超微妙だったり(ジャックと彼女のダンスシーンとか要らないと思う)
結局のところメッセンジャー=あくまでバイト(あまり胸を張れない仕事)な描かれ方をしてるのがちょっと残念。確かにあんな危険で体力の必要な仕事、歳をとると出来ないことだとしても、しきりに「こんな仕事で甘んじてるなんて」と色んな人が言ってたのが気になった。序盤でメッセンジャー達のイキイキとした写真を出していたが故に。

あと一番残念だったのは、一応作品のヒロインとなるテリー。恵まれない環境で育ったからかものすごく擦れていて、出自についてものすごくしょうもないウソをつきまくったり、散々みんなが警告してるにも関わらず危ない仕事を止めようとしなかったり、そのくせメンバーやジャックを頼ったり泣きついたりするので、おかげで仲間は撃たれるしジャックは危険な目に遭うし、、強がるくせに何も自分で解決しないというところが好きになれず、女優さん自体は整った顔をしてるのにキャラクターに全く好感が持てなかったのがダメ。

キャラクターとしては、ちょっと抜けてるけどいつも陽気でポジティブなヘクター、物言いは粗暴だけど仲間想いな熱いエアボーンが良かった。
メッセンジャー達が個性的な面々だったし、もっとスポット当てて欲しかったなぁ。
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