グラビティボルト

MEMORY メモリーのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

MEMORY メモリー(2022年製作の映画)
3.6
ここ最近のニーソン主演作の中でも、トップクラスに内面を荒廃させた主人公が画面を支配していてたじろぐ。
認知症をギミックにした映画かと思いきや、記憶に危うさを持った殺人鬼が廃墟と化した実家に戻る映画でもあった。
中盤で負傷した主人公が傷口を苦悶の表情で焼く場面が痛々しい。

特段技巧的ではないが、忘れ難い細部は多い。
特に罠にハマり、駐車場で銃撃戦になる場面、一晩を共にした売春婦が巻き添えになった時に彼女を看取って銃を取る瞬間、サイレンサーを引き摺りながら持ち上げるプロらしからぬ動作がニーソンの激情をストレートに伝達する。
この直後、遮蔽物に隠れる事を止めてズンズンと歩きながら射撃するニーソンの立ち姿が冴えてる。
やっぱり映画栄えする男だよね。
このアクションの顛末も、過激で素晴らしかった。

予告編でハイライトされていた、
ランニングマシンで走っている男をガラス越しに射殺する場面は撃った後が素晴らしい。
走っている途中に頭を撃ち抜かれて力の抜けた肉体がランニングマシンに打ち付けられる痛々しさが鮮烈。
周囲のリアクションを映さず次に展開する編集もベスト。