あきっこ

ザリガニの鳴くところのあきっこのネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

原作は未読だけどテイラーの曲につられて見てみた。

カイアの生涯には非現実的な部分が多くて、ミステリーとして真剣に謎解きをしようと意気込んで見ると肩透かしをくらうかもしれない。
彼女はリアルな人間というよりは象徴的存在としての側面が強いんだろうか。迫害されながら猫を抱きかかえる姿は魔女そのものだけど、メイベルは聖書の一節に準えて彼女を神に例える。恐怖の感情をぶつけられることもあれば、ミステリアスな女性という幻想の捌け口にされることもある。
カイア本人が、彼らが裁くのは彼ら自身と語るように、周囲を映し出す鏡のような機能を持った人、という印象が強かった。

オチはど真ん中ストレートで、もう絶対テイトがやっただろと思ってた私は逆にビックリした。
この結末によって、「自然>文明」という今作の考え方がさらに補強された気がする。自然の摂理の中では、生き物が自分の命を守る為に他の生き物の命を奪うのは当たり前のことで、人間が作った善悪や法の概念は、命のやり取りにおいては通用しない。
今回はたまたま捕食者が反撃にあった、ただそれだけの話、とでも言いたげなカイアの日記が良い余韻を残していた。
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