あきっこ

マイ・ニューヨーク・ダイアリーのあきっこのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

秋の夜に見るのにちょうどよさそうな映画を探して辿り着いた作品。
出版エージェントに就職した作家志望のジョアンナが仕事や夢や恋愛に悩んで成長していく、自称伝をもとにしたお話。舞台となる90年代のNYの空気感やファッションが全部オシャレで、画面の満足度はずっと高い。音楽もとても良かった。

夢への焦燥感の描き方がとてもリアルで、自分にも刺さる箇所がいくつもあった。日々送られてくる膨大な数の原稿を横目に電話番をするという、自分の夢の停滞ぶりを見せつけられるような環境。同じ夢を追っていたはずの友人は結婚を機にNYを離れていく。青春が終わって、現実を見るか夢を見続けるか選択を迫られるタイミングにいる人なんかは特に共感するのでは。
一方で、仕事面でも恋愛面でも「え、それどうなん?」と言いたくなる行動を平気でとる主人公なので、手放しで応援する気持ちになれないのが惜しい。

演出や演技の面では好きな所が多かった。ファンレターの差出人がこちらに語りかけてくる表現が斬新だったし、段々手紙を飛び出してジョアンナの精神に侵食してくる様子が分かりやすかった。
シガニー・ウィーバー演じる上司マーガレットはずっと良いし、カールとのシーンは選曲が月の光なのも含めて最高。

個人的な最大の不完全燃焼はサリンジャー。『プラダを着た悪魔』等似たタイプの作品と比較するとややパンチに欠ける物語の中で、サリンジャーの存在が差別化ポイントなんだろうなと思ってたからもう少し何か欲しかった気もする。
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