毎年恒例の「スーパー戦隊」と「仮面ライダー」の2本立て夏映画を観に行くと、毎回思う事がある。
スーパー戦隊って、子供にちゃんと人気なのか?
テレビサイズと同じ尺で作られているはずなのに、なんかいっつもどこからか「仮面ライダーまだー?」という焦れた声が聞こえてくるのだが。
と言いつつ、スーパー戦隊は毎年スルーのこの僕が、今シリーズである「暴太郎戦隊(あばたろうせんたい)ドンブラザーズ」は毎週欠かさず観ている。
てか、むしろいまや毎週の楽しみだ。
僕が、スーパー戦隊を観ているのは2012年の「ゴーバスターズ」以来実に10年ぶりである。
とにかく、今シリーズはこれまでのスーパー戦隊の定番をことごとく破って、子供そっちのけな展開と設定ばかりを詰め込んでいるのがマジに面白い。
スーパー戦隊といえば、仮面ライダーが大人でも耐えられるくらいのストーリーを意識して製作されている分、本来ならそのバランスをとって子供向けに振り切って作られるのが定石だが、今作は違う。
子供の一番の憧れであるレッドを二番手にして、物語の進行役をヒロイン枠のイエローが務めていたり、そのヒロインがヒロインとは思えない程雑な扱いをされて全力でコメディエンヌとしての立ち回りをしていたり、ブルーが一文なしのニートで変身すると仕草が猿化したり、ピンクが30代の男で既婚者で変身すると身長が推定3m超えのCGになったり、ブラックが指名手配犯の逃亡者で変身すると3頭身のCGになって、ずっと探してる彼女がピンクの婚約者と同一人物で、20話経っても未だに仲間と合流出来ていなかったり、追加戦士は登場2話目にして闇堕ちして仲間に襲いかかってきたり、前作の主人公が同姓同名の別人として続投されてたりと、とにかくなにもかもがデタラメ過ぎなのだ。
ただ、間違えちゃいけないのは、今シリーズはヒーローとして面白いのではなく、コメディとして超優秀なのだ。
スピード感、テンポ、ボケのクオリティが30分という尺に毎週ギッシリ詰まっていて、子供はこれを見て困惑していないか逆に心配になるレベルで大人が楽しい。
そんなんだから、今回の映画は仮面ライダーよりもこっちメインで観に行ったくらいには期待していたのだが、ちょっとはっちゃけ過ぎちゃったかな?
赤と黄色の下手演技があんまり好きな部類の演技ではなかったので、それにハマれなかったのが今作においてはかなり厳しかった。
映画としてのクオリティも、キャストが可哀想になるくらい文化祭レベルだし、今作の一番の見せ場が過去の戦隊では当たり前のアレだったり、これならテレビ本編の方がよっぽど面白い。
ちなみに「Amazonプライム」で全話無料配信中なので、騙されたと思ってはじめの3話くらいまでは、まずは観てみてほしい。
「くだらない」「子供向けのドラマを観てるなんて恥ずかしい」という感情を乗り越えられれば、素晴らしい世界が広がっている筈だ。