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リバー、流れないでよのKtoのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.4
【ひとこと説明】
2分間のタイムループをしつつ、登場人物達はループせず直線的に進んでいるのでループから頑張って脱出しようとする話

【感想】
主人公だけでなく、旅館にいる全員がループに囚われてドタバタするのが新しい。

主人公以外の背景(登場人物も含む)は全てループの対象になることが多い「タイムループ系作品」だけど、それが複数人同時にというのが面白かった。Netflixの"隔たる世界の二人"を思い出した(こちらはもっとシリアスで社会風刺的だけど)。

物質や物理運動はループするけど(排便や死もリセットされるけど)、人の記憶は直線的。"初期位置は毎度同じ"という古典的な不条理も、群像劇になるとシュールで面白い。

段々RTA的要素が強くなっていく。2分間しかないから、ループの設定の説明も複数"回"に分けなきゃいけないし、料理長みたいに理解が悪い人がいると足引っ張られるとか。

途中、実は皆「時が止まって欲しい」と切に願っていたことが分かる。それがループの原因だとおめでたい空想にひたっていたら、瞬く間に崩されるのも良かった。

「カメラを止めるな」のような"演劇人らしい"ドタバタ演出が目立つ。演技の質もどことなく、"演劇的"な誇張があり、好みが分かれるかもしれないと思った。男性の上裸への過度な拒否感やフランス留学を志す料理人への"girl meets boy"な感覚は、さすがに主人公をピュアに描き過ぎているのではないかと違和感を感じた。

あと「カメラを止めるな」でもそうだったように手持ちカメラ+ポスプロでの手ぶれ補正(多分?)が目立つ映像で、途中画面酔いした…。予算の関係もあると思うけど、ロングカットが楽しい映画なので、是非より高品質なスタビライザーを使用して欲しい…。
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