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ペトラ・フォン・カントの苦い涙のKtoのレビュー・感想・評価

3.8
女性の同性愛映画の言わずと知れた古典名作。
なかなか観れなかったけど、遂に観ることができた…。UNEXT様ありがとう。

とても悲しく美しい映画だった。

男性に頼らず、ファッションデザイナーとして高い業績があり経済的・精神的にも自立したペトラが、若くて美しい奔放なカーリンへ入れ込み、メンヘラ化していく話。

年上の権力者が、若くて身軽な年下に入れ込んで破滅していく話は映画史でも繰り返し描かれるモチーフだと思う。女性同士なら"TAR"、男性同士なら"ベニスに死す"を彷彿とさせる。
ある程度地位が確立されたものの、それ故に感じる孤独と無常感に苛まれ、まるで取り憑かれたかのように若々しいエネルギーと愛情を要求する。黒澤明の"生きる"でも、まるで若い生命を吸い付くす様に、主人公が若い女性に入れ込んでいたのを思い出す。

"権力者"である故に、若い相手との関係も取引的になってしまい、本当に欲しい"真の愛情"は得られない悲しさがある…。
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