ふぇりな

EO イーオーのふぇりなのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
3.3
最近ハマっている旅先映画館、今回は札幌です。
初めて伺いましたが、本当に素敵なところで通いたいくらいでした(さすがに通えませんが笑)。壁にあるオリジナル資料や名だたる映画業界の方々のサインが素晴らしいですね。またぜひ来たいです。

さて、肝心の映画の方はというと…非常にとっつきにくい作品でした。笑 私には早すぎたのか、逆に遅すぎたのか?分かりませんが、咀嚼するのにしばらくかかりそうです。

題名のとおり、主人公はロバ。動物が主人公の作品というと、「ベイブ」くらいしかイメージがつきませんが、あれとは全く逆を行く苦々しい作品でした。ロバを中心とした、動物と人間、飼われるものと飼うもの、食われるものと食うもの、社会の闇と光、富豪と貧民、正しさと間違い…とにかくいろいろなことが淡々と、しかしドラマチックな音楽とともに描かれます。「我々は正しい」と主張する人に限って、自分たちを正当化しなければならないような歪みがあったりするなと思いました。
最後に「本作品は動物愛に基づいて作られました。どの動物も傷つけていません。」というふうにでることからも、本作が動物愛護を訴えているのはわかるのですが…とにかく抽象的で突拍子のない演出が多く、大切なテーマがハッキリしなくて、意味がわからない部分が多すぎました。でもそれにしては露悪的というか、描写は極端ではあるし、誰も傷つけられていないとはいえど、可哀想なシーンもとても多いです。

ロバの目から見た世界、というにはかなり人間側の気持ちが強いですし、そもそも「映画」という完全に人間主体のものに当てはめている時点で、人間中心主義にみえる、という皮肉な作品でもあります。動物たちが無理やり付き合わされている、と感じてしまうシーンが多すぎました…。ただ、EO役のロバたち(複数のロバが演じていたようです)は、みんなとても表情豊かに思えました。まあ結局これも、私という人間がそう受けとっただけ、とも言えるのですが…。

つきつめると、やっぱり人間、人間の気持ちしかわからないんだと思います。本当に動物を守りたい!!動物の気持ちになりたい!!と思うならば、体の構造を変えて買われて食されてみるしかないですね。そういう話も世の中にはいっぱいありますが…。
雰囲気と音楽はよかったので、残念でした。
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