教授

EO イーオーの教授のレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
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ロベール・ブレッソンの「バルタザールどこへ行く」は観ていないという無教養さで本作に臨むも、それが敗因とばかりに、昨年の「マッドゴッド」以来の眠気に負けた。
一応意識はあったのだが、ウトウトしては覚醒し、覚醒したかと思えばまた眠気に襲われるの繰り返しで常に「EO」=ロバばかりを観ていたような印象。

それほど苦手意識のなかったテレンス・マリック作品が、その影響下にあるような作品群などに触れるうちにすっかり「映像美」に対して警戒感が生まれるようになってしまった。
本作もテレンス・マリックっぽさを感じ、自然(本作では動物)を通した人間の営みを冷ややかに見つめるというアート然とした佇まいには羨望と、心底では「なんかつまんね」という葛藤が生まれる。

本作のような映画をワクワクしながら楽しめるような映画ファンでありたいとか、そういったアートに対して前のめりな姿勢で鑑賞できるスタンスを獲得したいという気持ちもありつつ、おそらく自分は人間にしか興味がなく、その営みの観察を自然や動物に委譲した、壮大な俯瞰的視点が好きではないのだと思う。

何せ映画を観ているとは言いがたく、とにかく美しい「映像」にこそ観応えは感じつつ、より映像的、美術的な感覚の強さ、言語的ではないアプローチそのものが「詩的表現」の類としてはあまり合わないのだと思う。
観た、とは言えないので、つらつらと心情しか書けない。
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