強烈。
犬や豚を描いた作品は過去にも幾つかあったが、
本作はロバが主人公。
やや低い彼の目線で描かれる世界は、
非常に恐ろしく残酷である。
それは同時に、
我々人間が行なっている行為が、
非常に恐ろしく残酷なことを意味する。
今こうして生きている世界が、
いかに人間中心に作られ、
都合のいいように彩られているかが良く分かる。
理不尽に小屋に連れて行かれる彼らが、
まるでナチスのそれを想起させる。
もしもあの悲鳴が、
動物ではなく人間だったら、
人間は同じことをするだろうか。
おそらく何年先も残るであろう、
個性的でメッセージ性の強い、
唯一無二のロードムービー。