このレビューはネタバレを含みます
富豪たちの乗る豪華クルーズ船が難破し、富豪たちと一般のクルー達との関係性が逆転していくという話。
リューベン・オストルンド監督によるブラックコメディ。
まず、船が難破するまでに上映時間が1時間半もかかる。
チャプター1はカールとヤヤ、チャプター2はヨット、チャプター3は島、と3章仕立てで、うち2つまでは船の上での話ばかり。
文字通り逆転するにはちょっと時間が長いなぁと。
2時間半もあってスパッと歯切れが悪いのもなんとも。
モデルでインフルエンサーのヤヤと、その彼氏でモデルでイケメンのカールとのレストランでのどっちがお金を払うのか?というやりとりから、また良いところをツイて来たなぁと既に面白い。
ただ、そこが一番面白い場面という印象があって、それ以降はそれほどハマらず。
武器商人の夫婦が自分達の商品の手榴弾で殺される所とか、要所に皮肉が面白いなと感じる部分はあったんだけど、題材自体が思いっきり皮肉を前面的に押し出しているので、その包み隠さないアピール具合が逆に表面的過ぎると感じてしまったのも要因か。
皮肉は有り過ぎても無さ過ぎても駄目だしその表現のバランスは難しいようだ。
船が難破してからはトイレの掃除係アビゲイルが主導権を握るが、彼女については前半で富豪との関わりが薄いので対比も弱いのではと思った。
サバイバルのスキルが高いという伏線も無かったのでは?見逃してた?
ヤヤとアビゲイルがもしかしたら良い関係が築けるのでは?と思わせておいてからの「帰ったら雇ってあげるわ」という上から目線の言葉。
悪気はなくても、つい見下してしまう根底に染み付いた上級国民的発言が自分の首を締めてしまうというラストはキレがあった。
ただ、その他の遭難者は?等結末を推測せざるを得ない「ここで終わり?」感は強かったのでこれだけ時間をかけたなら他の富豪たちはどうなってしまうのか最後まで描ききって欲しかった思いは強い。