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CLOSE/クロースのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.0
今年のオスカー国際長編映画賞ノミネート作。予告編自体は映画館で夏頃から流れてたような気がするけど、ノミネート確実と踏んで公開を引き延ばした感じかな😒... とにもかくにも主人公のレオを演じた男の子の繊細な演技が素晴らしく、これほどまでに主人公と観客の気持ちが一体になる体験はなかなかできない。正直、この俳優さんがいなかったら、オスカーは箸にも棒にも掛からなかったのではないでしょうか?

13歳の男の子レオとレミはいつも一緒にいる大の仲良し。入学した中学でも同じクラスになります。レオは同級生から、二人は付き合ってるの?とかオカマだ、とからかわれたことをきっかけに「男らしさ」を意識するようになる中、レミの様子に異変が...

最初から最後まで湿っぽいテイストで、各シーンめちゃくちゃキマッてるといえばそうだけれど、若干悲劇演出が過剰であざとく、意地悪な見方をすれば子供の不幸を搾取しているという批判も可能。が、そんなあざとさを帳消しにし全てが自分の目の前で起こっているように感じさせるのが、彼の自然な演技!ずーっと顔をアップで撮られ続けるエデン・ダンブリンの刻一刻と微妙に変化していく表情が、全ての感情を余すことなく伝えています。

物語の背景には思春期のメンタルヘルスの問題と子供にも深く影響を及ぼすLGBTQ+嫌悪があるものの、そういった社会的背景に焦点を当てることを意図的に避け、少年の心だけを見つめることにこだわった作品です。

設定についても二人や親たちの言動を注意深く観察すると、レオはちょっとフェミニンなストレートの男の子で、レミは一見そうは見えないゲイでかつ元々メンタルヘルスの問題を抱えている少年というところは一応読み取れはするけれど、予告編の印象とは異なりそういった属性も敢えて無視し、余計なことを考えさせずただ心で感じさせるやり方がとても効果的で心に深く沁みました。

本日の映画館、予告編でアリ・アスター監督×ホアキン・フェニックス主演の"Beau Is Afraid"が流れましたが、なんかすげぇ傑作なオーラが出てました!!まぁ予告編にはしばしば裏切られはしますが... 楽しみに待ちたいです。
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