chunkymonkey

ディザスター・アーティストのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

4.0
妄想性障害のあるド素人が作った映画史上最低のZ級映画「The Room (2003)」の舞台裏を描いた書籍の映画化 byジェームズ・フランコ。普通に面白い🤣さすがに時間やお金を無駄にしたくないので元ネタの映画を観ようとは思わないけれど、書籍の方は読んでみようかなと思いました。

精神を病んでいる主人公が妄想をお金の力で現実化し嘲笑される実話ネタというところでは、「マダム・フローレンス! 夢見るふたり (2016)」と同じです。しかし、同作は題材である音楽に対する主人公の深い愛が感じられた一方、本作についてはその対象である映画愛が全く感じられず...

その代わりに精神を病み誰にも理解されない主人公トミーが友人を見つけるというバディ要素が映画をとても素敵なものにしていました。明らかに精神の病気で、前半は周りも振り回されるけど結構本人も苦しそうだなと思ったけれど、悲壮感を強調し過ぎないトーンのコントロールとバディ要素により、ほっこり心温まる映画な仕上がりに✨

映画に関して何も才能はないけれど、強い意思によりトミーは絶対に自分の素性を明かさないという自己プロデュース力は一級品!そうはいっても周囲がほっておくわけはなく、調査により1955年生まれのポーランド出身で、アメリカに移住後にニューオーリンズで叔父叔母と暮らしていたことは明らかになっています。が、その豊富な資金がどこから出てきているのかは、今でも謎だそう😮

当然公開時、非常に不快で面白くもない最低の映画と酷評されたものの、一部の人々の間でブラック・コメディとしてカルト的人気を誇るようになり、爆笑しながら観る深夜の応援上映が世界中で🌎その観客たちの笑顔に偽りはなく、エンタメとは何かを考えさせられます。とはいえ最低の映画であることには変わりない、ところが、それをネタに本を書いてベストセラー、そしてそれが映画化されるとなんとアカデミー賞にノミネート!しかも、本作で高く評価されたジェームズ・フランコはその後スキャンダルで完全にエンタメ界から消え去り、対するトミーは細々かつ散発的とはいえ現在に至るまでちゃんと映画やテレビで仕事を得ている。エンタメ界って本当に面白い世界だ😆
chunkymonkey

chunkymonkey