スカポンタンバイク

聖地には蜘蛛が巣を張るのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
4.0
アリ・アッバシ監督は前作「ボーダー/2つの世界」が凄く良かったので、色んな映画を放棄して鑑賞。

アルジェントの「ダークグラス」に続いての娼婦連続殺人ものということでしたが、今作は娼婦殺人そのものの恐怖とかサスペンスとかが中心ではなく、それをマクガフィンにする事でイラン・マシュハドでの娼婦をめぐる性差別、娼婦を殺す事が聖地の浄化として英雄視する人々の思想コミュニティを体験できる観光映画要素が中心になっており、終始なんとも居心地のよくない感じが良かった。主人公側の捜索と犯人側の日常と反抗が並行して進んで合流していくのは、私が「バニシング/消失」を好きで、観ながら思い出していたのもあって、どんどん真相に突き進んでいく主人公に終始「うわぁ、大丈夫かぁ?」と、バディと揃って心配しながら映画を観ていた。
バディもの、クライムサスペンスものとしての感じが、「ダークグラス」の火曜サスペンス感に対して、午後ロー感を感じた。それもあってか、ちょっと前半はタルいなぁという感じもあった。90分くらいのサイズでもう少しテンポ上げてくれると、相当両手を上げて傑作という感じだったかなぁと思いました。