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プアン/友だちと呼ばせてのmmmのレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
3.9
余命宣告を受けた青年・ウード
彼は、NYでバーを経営する親友・ボスに連絡をとり
ある頼み事をする。
それは、元カノを訪ねるためドライバーになってもらうこと。

父の愛車と軽快なラジオトークから始まるロードムービー

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予告で「元カノ巡礼…なんだそれりゃ?」と思ったのですが、
死ぬまでにしたい、たったひとつのこと…と言ってもいいのかな。

予想外の早さで訪れた人生の終わりを目の当たりにした青年が
心の奥底に残っていた気持ちに向き合い、終わらせていくという
禊のように感じました。

元カノなんで、厳密には既に終わってるわけなんですが、
“あの時言えなかったこと”ってのは案外あったりして
これが意外と忘れられないもの(…と書いて自爆気味)

身勝手といってしまえば、それまでなんだけど
違った見方をすれば、辛い身体をおして、
律儀なことをするんだなぁと思ったり。

時を経たから話せること、受け入れられること
もちろん、「何を今更!」みたいな展開もあったりですが、
それすらも大切な本音であり、
感謝とお別れ(伝えること・きちんと終わらせること)の
大切さを感じる。

ウードだけじゃなく、元カノさん達も、再会が
それぞれにとっての新たな一歩になっていく展開が
とても爽やかで良かった。

一番ぐっときたのは、多分、この旅のきっかけとなった
お父さんが出てくるくだり。

NYから、わざわざボスを呼んだのにも理由があり、
これがなかなかドラマチックな感じでもありましたが、
それは劇場で確かめてください・

想像だと、少々こってり気味になりそうだけど
車内で流れるラジオや音楽、友人と交わす会話などテンポが良く
爽やかな展開で、清々しい余韻が残る作品でした。

ウォン・カーウァイがエグゼクティブプロデュース
ということもあってか、彼の作品を彷彿とさせる
カメラワークも楽しめると思います。



◆独り言
バッドジーニアスを観そびれたままなので、
違う監督さんの作品で恐縮ですが、
2年前にみたHAPPY OLD YEARというタイの映画
(主演は2人目に出てくる元カノさん)
こちらはモノを捨てることと人間関係が
結びついていく話なんですが、
“捨離”
(いっさいのことを捨て去り煩悩を離れること・執着しないこと)
というテーマがどことなく繋がっている気がした。
仏教の国であるタイの方に根付く考えだったりするのかな。
mmm

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