さくらんぼ

プアン/友だちと呼ばせてのさくらんぼのレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
4.5
白血病で余命宣告を受けたウード(アイス・ナッタラット)は、タイのバンコクからニューヨークでバーを経営するボス(トー・タナポップ)に「死ぬ前に自分の頼みを聞いてくれ」と電話をかけた。

ウードの願いはかつて愛した女性に会いに行くというものだった。タイに戻ってきたボスと共にウードの父の形見の車に乗ってタイを縦断する旅に出た。

バンコクから
北へ260キロ離れたコラート
60キロ離れたサムットソンクラーム
700キロ以上離れたチェンマイへ

カセットテープ
古いBMW
カクテル
音楽

過去と現在を交差させながらタイとニューヨークを行ったり来たり。とにかくすべてがおしゃれで風景も綺麗で、この映画大好きだと思いながら観ていた。俳優さんたちも皆上手い。

「タイを縦断して彼女との思い出を綴ったロードムービー」だった『A面』から驚きの『B面』へと展開していく。
ネタバレは避けたいけど、ただの病気ものの恋愛物語じゃなかった。友情物語でもあり家族の物語でもありいろんなものが詰まっていた。
女遊びが激しいボスに対して恋愛にきちんと向き合ってきたウードがどうして別れを選ぶ恋愛ばかりしてきたのかが謎だったけど、後半その謎が解けた。

途中ボスがウードに「自分の気持ちを満足させて周りを掻き回しているだけだ」と言ったけど、死を前にしてそれは許されることのように思えた。
全部そこに愛があったから。

原題の「One for the Road」というのは、『バーを離れる前の最後の1杯』という意味らしい。この原題がいい。

全てが美しすぎる気もするけれど、心を綺麗にしてもらった映画だった。
映画館で観られてよかった。
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