こなつ

ミセス・ハリス、パリへ行くのこなつのレビュー・感想・評価

4.0
心温まる作品だった。いくつになっても夢を諦めない素晴らしさ、そんな勇気を貰える。

クリスチャンディオールの全面協力により、当時のデザインを再現したメゾンでのファッションショーは、なかなか観られない貴重な映像。

主役のレスリー・マンヴィルのキュートでチャーミングな演技が、歳を重ねてもあのように魅力的な女性でありたいと思わせてくれる。

舞台は、1950年代、第2次世界大戦後のロンドン。戦争で夫を亡くした家政婦ハリスが、ある日働き先で1枚の美しいドレスに出会う。クリスチャンディオールのそのドレスに魅せられた彼女は、お金を一生懸命貯めて、ドレスを買いにパリへ行く。いくつになっても夢を諦めないハリスの行動が周囲の人達を巻き込んで、素敵な奇跡を起こす。

1950年代、まだディオール氏が存命だった頃の話。オートクチュールの歴史上、最も重要なブランドのひとつディオールは華々しさの絶頂にありながらも新たな変革を求められつつあった時期だった。

華やかな職場の裏にある作り手の努力と苦難なども作品の中で知ることが出来て、興味深く鑑賞できた。

威圧的なマネージャー、コルベール(イザベル・ユペール)、会計士のアンドレ(リュカ・ブラボー)、モデルのナターシャ(アルバ・バチスタ)、シャサーニュ公爵(ランベール・ウィルソン)、出会った全ての人々の心を動かしていくハリスは、観ている私達ですら幸せな気持ちにしてくれる。

「テンプテーション(誘惑)」と「ヴィーナス」登場する鮮やかな赤と緑の二つのドレス、さすが高級仕立て服オートクチュールの豪華さを象徴するドレスだった。

モデルのナターシャを演じたアルバ・バチスタが、とても愛らしく美しい。ラテン系の顔立ちだと思っていたら、クリスティアーノ・ロナウドと同じポルトガル出身なんですね。(ただ今サッカー応援中)

おとぎ話のような映画であり、また歳を重ねて生きていく上で大切なものは何かを教えてくれた映画だった。
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