FujiNori

ヴィレッジのFujiNoriのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
3.6
舞台挨拶を鑑賞。
監督藤井道人さんの世界が広がる不思議な世界が舞台です。
全体として流れる能の音楽がその不思議さを更に演出します。

少し話逸れますが中村獅童さんがおっしゃっていましたが、能と歌舞伎は似ているところが多いものの、全く違うものらしいですね。能についても研究したいと思いました。

映画の舞台はとある地方の村。
そこでは廃棄物処理場を設置し、表では環境保護を訴えているもの、裏では違法な廃棄物を処理し、村ぐるみで隠匿をしているなど、腐った組織が間違った運営をしているというある意味絶望の村。

そこで働く片山優(横浜流星)はただ何もなく生きる日々。
しかしながら幼馴染の美咲(黒木華)が帰ってくることで、徐々に人間としての心を取り戻していきます。

この映画ではこの優の絶望の日々。そして少し明るい光が指したかと思えば、それは最期の絶望に向けた序章でしかないなど、全般的に救いのないストーリーとなっています。

もちろん架空の話でありますが、閉鎖的な組織の中で、正しいという感覚もなくなった若者には、もはや選択肢はないに等しいのかもしれません。

そしてこの物語のポイントはある人が途中からフッといなくなること。

それまでの不協和音がその人がいなくなることで、徐々に明るい展開になるのですが、大事なのはなぜいなくなったか。

おおよそ検討はつきましたが、それは最期に判明します。

「あんたゴミだな」

自分は優のこのセリフが心に突き刺さって仕方ありません。
産業廃棄物のゴミよりも、やはりいちばん人間の個々の浅ましさには勝てない。
最期の優の表情を見る限り、もはや優には心に何も残っていないと感じました。

全体的に暗いですし、暴力シーンも多い映画です。
ただ監督の藤井道人さんも、この物語で何かをそれぞれが掴んでほしいという話をしていました。

自分も整理して、再度鑑賞しようと考えています。
FujiNori

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