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ベルベット・ゴールドマインのエスのレビュー・感想・評価

4.3
前知識云々以前に……グラムロックという世界にはじめて出逢ったので……そりゃあもう鮮烈で、刺激がいっぱい……

脈略とか時系列とかの概念が皆無で着いていくのに必死だったし、ポップでもありパンクにサイケでもありレトロでもあり、独創的で目まぐるしく、視覚に訴えるような作品といったところでした。芸術の洗礼……

ユアンマクレガーのビジュを求めて観るには大お門違いもいいところ笑

でも開始数十分、カートワイルドの''T.V.Eye''には一気に鳥肌が立ち、作品の温度感にまだ馴染めず、探り探りだった自分の心をがっちり捕まえられたような気がした。やっぱり凄い。凄い好きです。本当に幅広く演じるなと思うし、役者人生に身を投じている、という表現がぴったりな人だと思います。どこまで魅力的なんだよアナタ……

イギーポップやデヴィッドボウイなどの音楽シーンや時代背景をご存知の方には、めちゃくちゃ見応えのある映画だと思う。後に解説を読み、この作品に込められたトッド・ヘインズ監督の愛と憎しみの意を知った時にはおぉ……と胸にくるものがあったし、視聴2回目以降にはそのものの価値が全く違う。すごい。

そしてセクシュアリティについての描写もとても興味深くて、劇中に「今の時代のゲイは権利を求めて闘ってる。でも72年の当時はもっと''軽やか''だった。」とあった。なんとなくすごく変な気分で、その分野に限らず、この世の中の全部もっと''軽やか''でいいのになと感じた。柔軟さがどんどん欠けていってる。必要なのはこれだよ。

あとは後のバットマンとなるクリスチャンベイルがめちゃくちゃ初心で可愛かった笑

夢とロックと可能性と葛藤。そして金。

難しかったけど新しい世界を探求するのはめちゃくちゃ面白いし、諦めず見続けて良かったと思います。

見事な怪演ぶりから1年足らずでオビワンになってるの意味わからんすぎて最高。

''The Ballad of Maxwell Demon''が楽曲の中で一番良かったな……と思ってたのにサントラごとデジタルには無くてかなしい……CD買います……

追記(2020/10/28 02:42:06)
CDについてた特集みたいなのでユアンが「ロックスターになりたかった」っていってたのをみてにっこり。音源版の''T.V.Eye''のどシャウトぶりも最高です。

(2021/01/05 17:19:42)
カートワイルドがめちゃくちゃ好きすぎたのでDVDを買いました。(ニッコリ)
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