良い作品はやはり良い。
これを劇場で観たかったと何年も思っていたので、このチャンスを逃すものかとかなり前から考えていたのに、この夏は仕事が思った以上にハードでもう無理かと思っていた。でも、何とか行くことが出来て、逆に封切りからかなり経っているのでほぼ貸し切り状態で、贅沢な鑑賞体験となった。
スクリーンで見ると表情が良く分かったし、刑務所での年月を重ね、受刑者たちが老眼や白髪になって行く様子もリアルだった。
ほぼ刑務所の中の出来事で派手さはないしきついシーンも多いのに、ここまで私たちを惹き付ける理由は何だろう。やはり人間とは何か、どう生きるべきなのか、ということがストレートに描かれていて、本質的な部分で共感出来るからなのかなと。どんな状況でも希望を捨てずに生きていれば……と究極の状況でリアリティを持って描かれている所もスゴい。登場人物とそれらに息を吹き込む俳優たちが、本当に素晴らしかった。
屋上のビールと『フィガロの結婚』のシーンはまさに「人間らしさ」を表す名シーン。音楽は心から消すことが出来ないって、本当にそう思う。
この映画を超える傑作に、生きているうちに会えるかな。