Smoky

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームのSmokyのレビュー・感想・評価

3.9
ありがちな「偉業を振り返る系」ではなく、クリエイティビティやアーティストとしての姿勢みたいなものを、生前の彼の言葉(モノローグ&インタビュー)と音楽(ライヴ・フッテージ多し)だけで紡ぎ出した良作ドキュメント。
 
ロック・ミュージックには、偉大なるワンパターン「AC/DC系」と、常に変化を続ける「デビッド・ボウイ系」の二つがあると思っていて、前者の割合は3割で、後者が1割以下。残りの6割超はその間をウロウロしている感じ。後者でいることは本当に難しく、しかも商業レベルでも成功しているのは彼しか居ないと思ってる。
 
さらに言うと、創作行為そのものが彼の存在意義であり、身体(パントマイム、ダンス、そしてあの美しい顔!)、ドローイング、演技(映画、舞台)など多岐に渡り、たまたま音楽で最も成功しただけ…だと思う。その意味では、デビッド・リンチに近い存在かもしれない(実際、2人は共演している)。
 
劇中ラストでも語られる以下の言葉が大好きで、人生の指針にしている。

「もし自分が働くエリアが安全だと感じるなら、それは働くには適切なエリアではない、ということなんだ。常に自分が可能だと思うより、もう少し水の中に入ってみて。─そして、足が底につかないと感じたとき、君は何かエキサイティングなことをするのに、ちょうどいい場所にいるんだよ」
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