銀幕短評(#720)
「手」
2022年、日本。1時間39分。
総合評価 60点
「ひど」
本作の中で、いちばんよくできたセリフです。
わたしはおんなではないので、おんなのこころはわからないのですが(「哀れなるものたち」の回では おんなの脳とおとこの脳にちがいはないはずだと書きましたが)、彼女の心境にはかなり寄りそえる気がする。正直で かつドライ、こだわりがない。それはとてもいいことです。
ひるがえって、おとこたちは総じておろかですね。おろかとまではいわないまでも、女々しい(ということばは非常な性差別語なので、おとこらしくない、と書くべきですね、え、というのも差別表現? でも英語でもたしかfeminineというのでした 「ニンフォマニアック」)。しかし、おとこはだれでもそうばかりではないよ、と彼女に耳打ちしたい。目をしっかり転じなさいと。映画はとりとめなく話しを接(つ)ぎますが、ラストのカットはうまく締めました。
男女のセックスのシーンが やたらと多い映画ですが、カメラはほとんどおとこからの目線で撮っている。監督がおとこだからかなあ。映画に出てくるセックスシーンについては、本作にかぎらず つねづね違和感をもちます(「彼女がその名を知らない鳥たち」)。たぶんわたしの手際(てぎわ)が世間ばなれしているのでしょう、としか思えない。だって監督も助監督もカメラも照明も演出も道具も たくさんのひとがアリのように寄りたかって ああいうセックスを撮るのでしょう?
主人公の彼女は ながれにまかせて自慰をしますが(それはとても自然なことです)、道具をつかわない自慰がでてくる映画は、「友だちのパパが好き」「川っぺりムコリッタ」「ファルコン・レイク」などがすてきですね。ほかにもすてきなのが ありましたっけ?
(すこしヘルプをいただきました。)