あまのうずめ

窓辺にてのあまのうずめのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.8
フリーライターの市川茂己は編集者で妻の紗衣と近く発表される文学賞の話をする。受賞したのは高校生作家の久保留亜で記者会見で茂己は質問した。終了後茂己は別室に呼ばれると、そこには留亜がいて受賞作の「ラ・フランス」には実在のモデルがいるのか質問する。


▶︎今泉力弥監督の今作は特に会話劇が楽しめた。小説を一つ書いた後はフリーライターとなった茂己と高校生作家の留亜との会話や、時折入る「ラ・フランス」の朗読のナレーションは軽やかながら哲学的な実証じみた文章があった。特に好きだったのは留亜のおじと茂己との会話と、茂己とタクシーの運転手”滝野みずうみ”との会話。秀逸だった。

おじさん組と若者組の微妙な距離感は特にリアルで、どこにでもありそうな日常の連続は一見単調かも知れないが、それを作品として成立させるのはそう簡単な表現法では無いと思う。
稲垣吾郎ありきで書かれ、それに応えた彼の飄々としつつ繊細な演技も堪能出来ました。

光の射す陽だまり映し方は優しく、そしてまるで温度を感じる様だったし、コップの水の反射は自分でもする動作だったので特に印象的なシーンだった。