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窓辺にてのdaiのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.5
今泉力哉×稲垣吾郎

稲垣吾郎扮する市川はフリーライターとして生計を立てている。玉城ティナ扮する久保は女子高生でありながら文学賞を受賞、その記者会見で市川は玉城に作品について質問をする。それをきっかけに市川は久保に導かれるかたちで作品のルーツを辿ることになる。一方で、市川は人に言えない悩みを抱えており、その悩みの捌け口を探している。

結局、今泉力哉作品が好きなので客観的評価が難しい。一つ言えることは、今泉力哉作品は「映画という表現媒体を通じた文学」であるということ。映画を見終わると小説の読後感に似たものを感じる。パンフレットの監督インタビューにもあったが、稲垣吾郎で作品を撮りたいという思いと長年温めていた脚本という思いの二つを強く感じることができたし、なにより稲垣吾郎がハマり役だったと思う。テーマの是非は置いておいて、好きな作品でした。

個人的な話だが、私も歳を重ねるにつれて自分の感情の動きを俯瞰して見てしまうことがある。人の死に直面した時に「泣く」ではなく「今、泣いた方がいい場面だな」的なことを考えたりして、そうした思考のすぐ先には罪悪感と虚無感が待ち受けていたり。その反面、動物ものの映像ではバカみたいに泣いたりして、どうなってるんだろと思うことがある。
感情の表出に難しさを感じる年齢になっているのかもしれない。
dai

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