方々からオールタイムベストとの評価を聞いていたのだが、やっと見ることができた。
まず最初に、これほど上質な映画を久しぶりに見たなぁという感想。
役所広司扮する平山は都内のデザイナーズトイレの清掃員。ボロアパートで一人暮らしをしながらも、決められたルーティンを心地よくこなしている。
無口な平山ゆえ、前半ほとんど発することなくはないのだが、役所広司の見事な演技と映像の見せ方が全てを物語ってくれる。
世界は一つのように見えて繋がっていない世界があるというのはまさにその通りだなと感じた。
この映画を見て平山の生き方に憧れる人もいると思うが、平山という人間は社会的弱者に見えて、相当に強い人間である。ゆえに、彼のようになることは相当難しいと感じる。
人は強欲で見栄っ張りだ。そうした煩悩をできるだけ切り離し、足ることを知り、現状に満足することができれば、きっと平山のような人間になれるのだろう。私は残念ながらなれなそうだ。