すがわら

ザ・メニューのすがわらのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
5.0
 評論家気取りでそれっぽい事を言ってるだけのクセに食の何たるかを分かった気になっている"食通"ボーイフレンドのキャラが良かった。機会があれば料理人になることも吝かでないという風だったが実際に包丁を握らせると凡百のゴミ料理しか作れないという展開も実にリアル。この作品で描かれる「料理」はきっと芸術全般に敷衍できる。  
 僕は普段、評論家気取りでそれっぽいレビューを書いてるだけのクセに映画の何たるかを分かった気になっている"映画通"なんだけど、かねてから機会があれば映画を撮ることも吝かでないと考えていたので最近、大学で自主映画を撮ることにした。
 いつもはあれだけストーリーがどうとか画作りがどうとか言ってるクセにまともな脚本を書き切れないし、まともな美術も作れなかった。撮影に至ってはそもそもデジカメの録画開始ボタンがどこか分からないというところから始まり、映画を撮ると言っているのに初期設定(30fps)のままカメラを回したり、絞り値に無頓着だったり、手ブレ、ピンぼけだらけで散々だった。
 結局、昔マイコプラズマ肺炎に罹った時分に見た夢をベースに色んな映画の好きなカットを繋ぎ合わせて苦し紛れの短編を一本完成させた。学祭で上映したけど観に来てくれたチビっ子はすっげー退屈そうだった。
 やっぱ食ってるだけの食通や観てるだけの映画通には何も分かんないし、そんなやつに知った風な口を聞かれたら怒るのも無理ないなと思う。
 そんなこんなで謎の申し訳無さを感じ、シェフを応援した。ラストがとても良かった。
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