これ、良いね。良かった。沁みる。
カラオケ好きとしては公開する前からずっと気になってたが、カラオケ好きとはまた別の話だけどとても着飾ってなくてストレートに描かれてて良い。
原作は読んだことないけど別にそれはあまり気にもならず、シンプルに話と演技が沁みた。
ヤクザの“狂児”、中学生の“聡実”。
綾野剛と齋藤潤のコンビが良い。
ヤクザの組の年に1回の組長の誕生日に開かれるカラオケ大会でビリになると悲惨な罰ゲームが待つ。それを避けたくて歌が上手くなりたい“狂児”。
なぜか、たまたま通りかかった中学生の合唱コンクールの帰り際の“聡実”を半ば強引に拉致、いや、スカウトして教えを乞うことに。
なんやらわけわからんヤクザの男に絡まれ、カラオケBOXまで連行されて無理やり教えを乞われる“聡実”。
はい、わかりました、歌教えましょう、となるわけもなく、とんでもない出会いから始まる2人の友情の物語。
なんか、もう、この2人の関係性、憧れしかない。
世の中からはみ出して入るもののカラオケで歌上手くなりたいとやたらと息を巻くヤクザ。
だけども礼儀や言葉遣いはむしろ“聡実”よりもしっかりしていて、教えを乞う先生として“聡実”を敬い、優しく接する。
一方で多感な年頃の“聡実”。合唱部に心血注いだ3年間、最後のコンクールで優勝を逃し、変声期も始まり、色々上手くいかないモヤモヤを募らすぶっきらぼうな中学生。
どっちが師で、どっちが弟か。
ある時は“聡実”が師であり、ある時は“狂児”が師であるかのような、この出会いと関係性にホッコリする。
綾野剛のこのキャラクターが素敵過ぎる。
こんなヤクザとカラオケ行くかどうか、音叉を買ったどう使うとか、お互い頑張ろうとか、友達のような絆が芽生えるなんてもう憧れ。
歌にも、人生にも、どんな環境や年齢であっても、大なり小なりその人なりの悩みや乗り越えたいことはあり、救いを求めたいことはある。
ヤクザの方は相手が中学生だろうがドストレートにその気持ちをぶつけ、中学生の方はそれに巻き込まれながら自分を探す。
まさか、綾野剛がコレだとこだわり続ける楽曲がには笑ったが、この楽曲にもしっかり意味を持たせて、この楽曲らしい難易度やエピソードを作品の中にしっかり投じてきたことも素晴らしい。
お互いに、この偶然がなければ間違いなく会いもしなかったであろう2人が、それぞれの世界ではなかなか埋められない部分を埋め合うような優しくマッタリした2人だけの友情。
カラオケBOXしかり、道端しかり、車内しかり、屋上しかり、2人のやりとりが本当にホッとする。こんな友達が欲しいと思える素敵な作品。
極道側のメンバーもガチのメンツを揃えていて、そっちのドスの効いた演技や見た目も妥協せず、ガッツリパワフルにゴリゴリしてたことも相反する世界が混ざってる感じで良かった。
そして、関西弁、大阪だからこそのテンションや言い回し、勢いがとても活きている。
中学生に対する綾野剛の中学生みたいな無邪気な態度と大人な態度の使い分けみたいなの、めちゃくちゃカッコ良いな。
そして、やっぱりセンチュリー、カッコいいなぁ。
これは観て良かった。こういう映画、もっと観たい。
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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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