幽斎

Ms.ベビーシッターの幽斎のレビュー・感想・評価

Ms.ベビーシッター(2020年製作の映画)
3.4
ジャケ写は完全にレビュー済「Mr.ノーバディ」だが、US版も既視感で始めからオリジナリティも湯葉の様に薄い。Mr.ノーバディはレビューに書いた通り「ジョン・ウィック」の制作者がプロットを逆転させたら面白い的な発想で生まれた。古くは西部劇まで遡る「ナメてた奴が激ヤバだった」令和の世でも通用する貴重なジャンル。因みにオリジナルが此方。AmazonPrimeVideoで鑑賞。https://en.kinorium.com/2343268/

トレンドが復活したのがレビュー済「ドント・ブリーズ」。その女性版と言えば私の大嫌いな「リベンジ・レイプ」未だに作られるのはコンプラ的に如何なモノかと思うが、無修正AVがスマホで見れる御時世に、わざわざ映画で観るのは高齢層だけだろう。アメリカで「ベビーシッター」スリラーの定番ジャンルで古くは「ゆりかごを揺らす手」「夕暮れにベルが鳴る」等、根強い人気を誇る。

Kohl Glass監督はC級映画の編集で食い扶持を繋ぐ経歴で長編2作目。過去の作品を見た方は一人も居ないと思うが(笑)、「武装魔獣軍団オークス」「ドラゴン・スレイヤー伝説の勇者パラディン」「パラディンの戦い神々に導かれし勇者たち」「キングダム・ウォーズ魔界からの侵略者」←これが監督デビュー作。

私はアメリカ西海岸に数年暮らした経験が有りますが、避けて通れない「不法侵入」「テロ」「誘拐」。日本は警察が優秀では無く国民の民度が高いだけ。外国人が多い地域はトラブルも多く、京都も同じ。鍵なんて無力で相手は銃を所持して侵入。映画では「ホーム・インベージョン」として古典では「わらの犬」最近ではレビュー済「パージ」シリーズ、それだけ危険が隣り合わせ。

本作は「ベビーシッター」+「ホーム・インベージョン」。シチュエーション的には如何様にも面白く成りそうですが、カルト集団も主人公も素人で、手際とか段取りとかスリラー的な面白さ以前に演出の組み立てが稚拙、終盤にようやく主人公が本気を出すが、アクションと会話の絡みとか、テンポの悪さにウンザリ。上手く作ればレビュー済「サプライズ」二番煎じには為れたと思うが、ヒロインに1㎜も共感出来なかったのは致命傷。

スリラーをご覧に成らない方には、女性版ホームアローンと言えばお分かり頂けると思うが、そもそも論でベビーシッターには家族を守る義務は無いので、助かった時点でサッサと逃げて通報すれば良い、と言うのは誰でも気付く。私はスリラー専門だが、回収されずに放置された伏線とか、オチは綺麗サッパリ描くのがお約束なのに、無駄にモヤる結末とか、脚本が不完全で笑いに逃げるのは本末転倒。エンドロールで続編への意欲満々だが、その前に本作で出し切れよと言いたい。

結局、予告編が一番面白い(笑)。ホラー要素やグロも無いので暇潰しには為るかも?。
www.youtube.com/watch?v=FVOeDoydvsU
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