幽斎

ドミノの幽斎のレビュー・感想・評価

ドミノ(2023年製作の映画)
4.0
「シン・シティ」Robert Rodriguez監督と「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」アカデミー脚本賞Ben Affleck主演で描くアンリアル・スリラー。MOVIX京都で鑑賞。

アメリカで初めてスリラー見る事を「Mystery Movie Monday」と言うが、本作がハリウッドで話題に成ったのは2002年頃。映画レビューを書く切っ掛け「インセプション」酷似してると噂された。しかし、インセプションの公開は2010年と本作の構想から随分後。少なくともインセプションのパクリと言う批判は全く的外れ、寧ろ逆なのだ。

主演Ben Affleck 51歳。私のジャンルだと傑作スリラー「ゴーンガール」、彼はハリウッドで指折りの頭脳明晰を誇り、記憶力が命と言われるワールドポーカーツアー決勝トーナメント出場。既に「アルゴ」アカデミー作品賞、一丁上がりの俳優だが頭脳明晰には見えない(笑)。女性遍歴も凄くJennifer Garner、Gwyneth Paltrow、Jennifer Lopezで決着。

しかし、Jennifer Garnerの離婚理由のアルコール依存症は深刻、祖先が奴隷所有者で有る事を隠蔽したと暴露され風向きが変わる。熱烈な民主党支持者でLGBTQへの批判など、頭は良い筈なのに世間の空気の読めなさは如何ともし難い。似合って無いデアデビルとスーパーマンとバットマンを演じた唯一の俳優。懲りずに「ザ・フラッシュ」出演。当代切っての大根役者「思いを巡らしてる様で実は何も考えてない」。因みに「ゴーンガール」以外で好きな「ザ・コンサルタント」続編が決定。配給はAmazon MGMスタジオ。続編はメディナの元上司が何者かに暗殺され、クリスチャンに事件解決の依頼をするストーリー。此方は乞うご期待!。

「ドミノ」ドミノ倒しも登場するので偽りでは無いが、英語圏とフランス以外は各国語の睡眠と言うタイトル。ドミノは「2つの同じ大きさの正方形を密着させた牌」本作でも登場したサイコロ目の形で、18世紀にヨーロッパで流行。1980年代にドミノ倒しをしたら面白かった起源。日本の「将棋倒し」14世紀の文献に記述が有る。だから?(笑)。

「Hypnotic」フランス語で誘惑と言う意味で催眠術はHypnosis。Inceptionの本当の意味は、美人がイマイチな男とセックスすると言う意味だが、スリラーの世界で「Legal」正攻法なスリラーを創る事は難しい。監督はハリウッドに脚本を持ち込むが色好い返事を貰えず、レビュー済「ワース 命の値段」Max Borensteinにリライトを受ける。メジャーでの制作は叶わず自主制作に切り替え、インディーズのSolstice Studiosと契約を結んだ。

作品は完成したがSolstice Studiosが公開前にCOVIDに耐え切れず倒産。幸いBenの前作「AIR/エア」Studio 8が引き継ぐ形で配給。予告編でイメージする大作でも無く通常のアクション映画よりも安い製作費7000万$、しかし、北米公開初週240万$の6位と大惨敗。インセプションの製作費は1億6000万$、本気で監督の銀行口座の残高が気に為る。監督の作品は日本で言う家内産業。音楽は息子Rebel Rodriguez。。もう一人のRacer Maxは共同プロデューサー、娘のRhiannonはストーリーボード、息子Rogueはアニメーション担当、息子Rocketは編集担当。徳川家康顔負けの子供の多さにビックリ(笑)。

「開始5秒から騙される」←この手の作品に騙された事は一度も無い。インセプションも「TENET テネット」も論破してるし、日頃から英米の推理小説を読んで映画は二の次の私から見れば、スリラー映画こそ分かり易い。ご覧に成った方は「Hypnotic」とても魅力的と思った筈、私もソウです。インセプションより先に企画されただけ有り今、自分の見えてる世界は本当にリアルなのか?、虚構の世界を行き来するスリラーは整合性が難しい。本作はソレが破綻してるように見えるので、興業的に一敗地に塗れた。

監督らしいスピード感ある展開、96分と言う上映時間で観客を飽きさせず、他人に虚構の世界を見せ無自覚に操作するスペックは、アニメに詳しい友人に依れば「BLEACH」似てるらしい。私はアニメは見ないけど、無限に面白く成れそうなプロットを、発想した監督が上手く使い熟せないジレンマも感じた。スリラーで「鏡花水月」を描く事は難しい。

【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意!】

「開始5秒から騙される」つまり始めから虚構と「自白」してるので何なら全部虚構。インセプションは夢の階層と始めから説明するが、本作のアニメ的どんでん返しの連続は「マトリックス」世界観をアップデートしたとも言い切れず、ジェネリックノーランと言う評価も頷けるが。私的には「トゥルーマン・ショー」にも見えた。脚本を、なぜメジャー・スタジオが採用しなかったのか?、ヒントはレビューの中に在ります。

ミステリー小説でも状況説明が「過ぎると」話は面白くない。本作は巧みなコンセプチュアルで在るが、シチュエーションを映像で理解させるのではなく、台詞で語るので観客にも説明口調に見え、物語のアウト部分「何が起こってるか」説明に熱心で、イン部分「なぜ、起きてるか?」具体的に伝えないので、早い話が一般客は置き去りにされる。

初歩的な部分で催眠術で人は殺せない。脳神経学的な見地では、例えば私が「貴方は自殺したくなる」催眠術を掛けても、理論上は無理。人間の防衛本能の中に、意識と無意識が有る。催眠状態で意識をコントロールする事は可能。例えば嫌いな野菜を食べるとか。しかし、無意識は脳内のセロトニンが活発に活動するので、本能的に危険を感じた場合は指示されても従わない。可能性が有るとしたら、催眠術では無く宗教の力。

本作の世界線では自傷も他殺も出来る。テレパシーと催眠術も懸け離れてるし、ヒプノティックもハッキングと言うよりマインドコントロールに近い。「夢を操作」ソレこそインセプション(笑)。何が違うと言えば、インセプションは脳の世界に入り世界は完全なる虚構だが、本作は現実世界に居て脳をハッキングするので、物理的な世界は存在。目に見えるモノは別世界に見せ掛けるので、高層ビルの裏側はトタン1枚とか、ハリボテを本物だと認識する。ミステリーの世界で言う「牽強付会」にも見える。

折り畳まれて逝く世界同様、一般客は置いてけ堀り。インセプションの様に10回観たら全て繋がった!的な緻密さは無い。クリエイティヴは認めるが、鰹節の様な荒削りの脚本のまま出されても誰も幸せに為れない。スリラーでは「Mindfuck」と言うが、クールな前提も予算不足のツケが露骨に出てた。スリラー的に考察すれば、ロジックが後出しジャンケン、伏線が卑劣の上書き。結果、主人公が常に霞んだ存在に見える。

アメリカではBenの演技に進歩が見えないと非難轟々、批評家も「Philip K. Dickのトータルリコールの偽の記憶を霞め取り、テーマも万引きした」散々な云われ様。私的には色々書いたが割と肯定的で、監督が伝えたいテリフィックは理解した。監督らしい南米テイストも健在で何より。私の好きなWilliam FichtnerがBenと世紀の駄作以来の共演。複雑なロジックにサジを投げる前に、本作の「本当の主人公は誰か」解りましたか?。此の作品を私の好きなチーズに例えると「エメンタール」意味ですか?、穴だらけ(笑)。

「ChatGPT、インセプションの続編を書いてくれ」

続編は存在しないため、新しい物語を考えてみましょう

タイトル「インセプション: ディープ・エクスプロレーション」

物語はドミニク・コブが、新たなクライアントとともに、複雑な夢の世界に挑むところから始まります。クライアントは、革命的なテクノロジーを開発、それを使用して敵対的な企業との競争を制し、彼らの情報を盗む必要があります。コブは古い仲間たち、アリアドネ、アーサー、エイムズと再びチームを組みます。しかし、この新しい冒険では、敵の夢の世界はさらに厳重に守られ、課題は以前よりも困難。彼らはさまざまなレベルの夢の中で情報を収集、危険な対立勢力との戦いに巻き込まれます。同時に、コブは過去のトラウマと向き合い、自分の過去と家族についての新たな洞察を獲得し始めます。クライマックスで、コブと彼のチームは、夢の奥深い秘密と、クライアントの真の意図を暴き出すため最後の冒険に挑みます。彼らは現実と夢の境界を越えて、思考のエクスパンションという究極の目的に近づく。続編では、夢の中での探索とリアルワールドのキャラクターの成長が絡み合い、心理的な要素とアクションが絶妙に組み合わさる。「インセプション」の世界観を維持しながら、新たなキャラクターアークが楽しめるでしょう。

うーん、薄い。て言うか何も答えてない(笑)。※ChatGPTの本物の答えです。
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