耶馬英彦

イコライザー THE FINALの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
3.5
 デンゼル・ワシントンは「フライト」や「マクベス」では表情豊かな主人公を演じてみせた。「イコライザー」の以前の2作の主人公は、容赦のない無表情の殺し屋の側面が強かったが、本作品では豊かな表情を解禁して、人間的な魅力に溢れるロベルト・マッコールを演じている。
 一般人との交流は以前の作品にはなかったが、本作品では地元の人々との交流を通じて、殺伐としたマッコールの人生に赤みがさす。かつて世話になった上司の娘と絡ませるのも、マッコールに殺す殺される以外の人間関係を持たせたかったのだろう。そこが本作品の見どころのひとつである。
 もうひとつの見どころは、殺しの現場の演出だ。任務としての殺人なら、より速くより正確に致死に至らしめるが、本作品の殺し方には、マッコールの怒りが現れている。殺人マシンから人間に戻ったみたいで、現場は更に凄惨になるが、見ごたえは増す。

 邦題は「イコライザー THE FINAL」だが、原題は「The Equalizer 3」である。もしかすると「The Equalizer 4」もあるかもしれない。本作品も含めて、このシリーズはラスボスがショボいのが玉に瑕だから、「4」があるなら、もっと強大な敵を設定してほしい。引退して年老いたマッコールが、無辜の人たちのためにその強大な敵に立ち向かうのだ。ちょっぴり期待。
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