わたふぁ

GOのわたふぁのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
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先日、元脱北者の方と話す機会があって。(後で調べて韓国ではなく北の生まれだとわかったのだけど)
それから久しぶりに今作を見返した。

ポップでチャラい見た目だけど
学べることも多い作品だった。
若者は知らされない日朝・日韓の複雑な関係を、1人の若者の肩に背負わせて、コリアンジャパニーズという人々の生き方を教えてくれている。これはきっかけになる。知る必要があると知る。

彼らがどれだけの憎しみをもって日本に住んでいるかわからない。
19世紀末に日本軍が北の地を植民地とし、労働者として彼らを行ったり来たりさせたあげく、戦争が終わったら、彼らにどちらの国をも“故郷”とさせず、行き場を失わせた。彼らはどちらにも生活の基盤を作れず破綻、結局、南北を分かつ結果につながってしまった。
近頃のニュースを見ていて、撃たれても仕方がないのでは、と思ってしまう。

朝鮮学校で学ぶ彼・彼女らは、それらの歴史をしっかりと勉強した上で、日本で生きる限りは憎しみを抱かないように教育されている。
一方、日本の教育では特に掘り下げることなく、ある意味もっとも残酷な“無関心”で、お茶を濁し続けている問題の一つだ。

先日出会った人に限っていえば、彼は北朝鮮の生まれであることを、少なくとも誇りに思っている。名前もそのまま使っている。
若い人だし、憎しみこそないと思うが、平和ボケした日本人を哀れに思っているとは思う。
だって彼らは勉強をやめないから。勤勉で努力家で働き者の彼らに敵うわけがない。著名人や文化人のなかにもチョンだと言われる人が多いのも納得する。

彼が言われて傷ついたのは「昔のことなんていいじゃん。仲良くしようよ」という言葉らしい。喉元すぎれば...の以前に、事実を咀嚼する根気も、能力も、勇気もない人たちにそんな気休めを言われたくない、ということではないかと想像する。

地球は決して丸くない。残念ながら“端っこ”が存在する。その現実に変わりはないが、今となってはそれは日本のことを示すのかもしれない。
誇りを持てる国で生きたい、という話。

(彼が今作を見てどんな感想を持ったのか、いつか叶えば訊いてみたい。)